「地域貢献を可視化」 社会福祉法人改革案まとまる

2015年0223 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
150223_1-1

 厚生労働省の社会保障審議会福祉部会(座長=田中滋・慶応義塾大名誉教授)は13日、社会福祉法人改革案をまとめた。法人の公益性・非営利性を徹底し、地域社会への貢献を可視化することが柱。法人の経営組織を強化するほか、お金の使い方に疑念を持たれないよう財務規律を確立する。厚労省は社会福祉法改正法案を3月中旬に国会に提出する。2016年度中の施行を目指す。

 

 田中座長は12日の同部会で改革案について「規模の小さい法人には厳しいかもしれないが、世間の目はもっと厳しい」と話した。法人への規制強化ではなく、法人が本来の力を発揮するための改革だとしている。

 

 具体的には①法人の内部統制(ガバナンス)を機能させるための経営組織の強化②公益活動を含めた財務規律の確立−を目指す。国民に説明責任を果たすことを重視した。

 

 「法改正して新しいことをやろう」というよりは、「今やっていること、当たり前のことを広く説明できるようにしよう」という意味合いが強い。

 

 例えば、理事長の権限と義務、評議員会の位置付けを明確にする。役員報酬の設定など、これまであいまいだったことにも一定のルールを設ける。

 

 最も時間を割いて議論した「地域公益活動の義務化」も、営利法人との違いを出すために新たな取り組みを強制するかのような色合いはやや薄れた。

 

 法律上、無料・低額な料金による福祉サービスの提供をすべての法人の責務とした。これは理念規定であり、実施しない法人に罰則を科すものではない。

 

 いわゆる余裕財産(再投下財産)のある法人には、再投下計画の策定を義務付ける。再投下先の検討に当たっては、社会福祉事業(施設の新設・増設、新たなサービス展開、人材への投資を含む)を最優先とした。

 

 それでもお金が余れば、厚労省が通知で例示する公益事業のうち「無料・低額な料金により供給するサービス」に充てる。

 

 再投下先の優先順位付けには委員間で意見の相違があった。

 

 全国知事会の委員は、余裕財産はすべて社会福祉事業に再投下するよう主張。また、法人への行政の関与を抑えるよう求めた。

 

 これに対し、一部の学識委員は社会福祉事業に充てるだけでは不十分だとした。最終的に、改革案は地域性や法人の経営判断に委ねる形をとった。

 

◇    ◇    ◇

 

 政府の規制改革会議が、営利法人とのイコール・フッティング(競争条件の同一化)として社会福祉法人に「社会貢献の義務化」を求めて以来、法人からは社会貢献(地域公益活動)の中身を問う声が上がっている。

 

 「施設入所者以外に、平均で毎日約50人が施設に出入りしています」。社会福祉法人仙台市社会事業協会(仙台市)の佐々木薫・仙台楽生園ユニットケア施設群総括施設長はこう話す。

 

 特別養護老人ホーム、ケアハウスなどが入った6階建ての建物に「葉山地域交流プラザ」(喫茶レストラン、展望風呂、理容・美容室、おもちゃ図書館など)があるため、人の出入りが活発だという。

 

 「老人ホームとおもちゃ図書館」という組み合わせは世代間交流を促すことが目的。絵本や鉄道模型などをそろえ、幼児・小学生、その保護者らが自由に遊べる。育児サークルの活動場でもある。

 

 佐々木施設長は言う。「東日本大震災の当日は、地域住民約100人が当施設に避難した。社会福祉法人に地域公益活動を義務付けるというが、日ごろから地域との顔の見える関係を築いておくことこそが大切だ」。

 

仙台楽生園のおもちゃ図書館(提供=同園)

仙台楽生園のおもちゃ図書館(提供=同園)

 

 

 

まるわかり! 2015年度介護保険制度改正のすべて
小濱 道博
日本医療企画
売り上げランキング: 30,909

 

介護経営白書2014-2015年版
ヘルスケア総合政策研究所
日本医療企画
売り上げランキング: 336,099
    • このエントリーをはてなブックマークに追加