介護保険の収益500万円を困窮者支援に 軽費老人ホームの強み生かす
2015年02月27日 福祉新聞編集部
軽費老人ホーム明星などを運営する社会福祉法人豊年福祉会(西田孝司理事長、大阪府交野市)は、法人の公益部門として独自に地域福祉サポートセンター(地サポ)を立ち上げた。軽費老人ホームならではの強みを生かしながら地域のセーフティーネットとしての事業を展開している。
母子家庭の40代の母親。末期がんで病院にかかっていたが、予約日に来院しなかった。心配した病院から相談を受け担当した松葉智子さんが自宅を訪ねると、20代の娘は家出し、母親が一人寒い部屋でお金も食べる物もなく、どこにも相談できず困り果てていた。
こうした病気や失業、虐待などにより深刻な生活課題を抱えながら制度から漏れている人の総合相談窓口として2009年4月、地サポは開設された。
活動の一つは、大阪府社会福祉協議会と老人施設部会が04年度に始めた「社会貢献事業(生活困窮者レスキュー事業)」。
法人として当初から参画し、生活に困る人に寄り添い必要な制度につなぐコミュニティーソーシャルワーカー(CSW、兼任)を8人配置。さらに緊急性の高いケースに即応できるよう法人独自に専任のCSWを置く。それが松葉さんだ。
地サポでは、松葉さんを中心にアウトリーチに重点を置く。病院受診の同伴や債務整理の支援などのほか、自宅の電気線修理など、よろず屋のような一面も。それぞれの支援の過程では関係機関と相談しあい、常に誰かが見守れるよう連携する。
そのほか「社会福祉法人の独自性を意識し常に何かできないか考えている」(松葉さん)という中で生まれた、不要な家電や衣類などを集めて困窮者に活用してもらう「かぐでんネットワーク」や、地域と交流のない人などが年齢に関係なく気軽に集まれる居場所づくりなどにも取り組む。
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