介護福祉士の養成施設卒業生に国家試験 2022年度から義務化へ

2015年0302 福祉新聞編集部
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養成施設卒業正国試

 厚生労働省は2月25日、介護福祉士の取得方法に関連し、2022年度から養成施設卒業生に国家試験の受験を義務付ける方針を固めた。17年度から21年度までの卒業生に受験資格を与え、未受験・不合格でも卒後5年間は介護福祉士とする。今国会に提出する関連法案に盛り込む。国家試験の義務化に賛成、反対の両者に配慮した折衷案と言えるが、介護福祉士の社会的な評価が下がると懸念する声が上がっている。

 

 

 この問題を議論してきた厚労省の社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(田中滋委員長)は同日、介護人材を確保するための①参入促進②処遇改善③資質向上−の具体策などを報告書にまとめた。

 

 現在、介護福祉士を取得するには、大きく分けて①実務経験3年以上の人が国家試験を受ける②介護福祉士養成施設を卒業する−の二つがある。

 

 これを2012年度から①実務経験3年以上の人が実務者研修(450時間)を修了して国家試験を受ける②養成施設の卒業生が国家試験を受ける−に改めることになっていたが、厚労省は延期を重ねてきた。

 

 報告書は実務経験3年以上の人に実務者研修を課す時期を16年度とし、研修を受ける人の負担を減らすため受講期間(6カ月以上)の短縮化を認めた。15年度は現行通りだ。

 

 養成施設ルートは15、16年度は現行通りで、国家試験の受験義務化は22年度の卒業生からとした。養成施設経営者の間で義務化に賛成、反対の立場があるため、双方に配慮する形で17~21年度の卒業生の受験は任意とした。

 

 未受験・不合格でも卒後5年間は介護福祉士になれる。その5年間で国家試験に合格するか、連続して介護の実務に従事すれば6年目以降も介護福祉士を保持できる。

 

 実務経験ルートと養成施設ルートの改正時期がずれるほか、養成施設ルートは5年間は変則的な扱いになる。厚労省は並行する形で15年度から3年程度、介護人材全体のあり方を改めて検討する。

 

 具体的には介護福祉士の定義・役割の見直し、養成カリキュラムや国家試験の出題内容の改正を想定する。いずれも介護人材の資質の向上を図るための方策と位置付けた。

 

 一方、介護人材の参入促進策としては「福祉人材センターのサテライト展開」などを挙げた。処遇改善策としては、人材育成に取り組む事業所の認証制度や雇用管理改善などを進める。

 

 報告書は介護人材に特化したもので、社会福祉士や障害福祉分野の人材の議論はなかった。この点について報告書は別途、検討するとした。

 

 同委員会は14年10月の発足から計5回会合を開いたが、開催日が延期になることが繰り返し発生。利害関係の調整が難航したことがうかがえる。

 

東京YMCA医療福祉専門学校(東京都国立市)八尾勝校長の話

 

 本校は介護福祉士養成課程の定員が80人で、ほぼ100%充足してきた。卒業時の国家試験義務化にも賛成し、学生募集の際も国家試験があるという前提で説明してきた。

 

 それに対し、今回の案は国家試験を受けない人にも一定期間国家資格を与えるものだ。「高度な介護人材を養成する」という厚労省の目標と裏腹に、養成施設の質の二極化が一段と進むだろう。社会的な信用をさらに落とし、学生募集に影響が出ることを心配する。

 

 2015年度から介護福祉士の定義や養成カリキュラムなどを抜本的に見直すというが、実務経験ルートと養成施設ルートを同じ国家資格とするには無理があろう。

 

 

 

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