社会福祉法人が温泉や巡回バス運営 赤字でも地域貢献

2015年0302 福祉新聞編集部
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温泉に来た人は職員の指導の下、無料でリハビリ機器を使える

 地域住民が無料で利用できる巡回バスや買い物バスを運行したり、高齢者世帯のための配食サービスや緊急通報事業を行ったりしている特別養護老人ホームがある。香川県の社会福祉法人香東園(石川憲理事長)が運営する岡本荘だ。施設併設の「椿温泉」と特養ホームの専門性を生かした地域貢献事業は、地域のセーフティーネットとして大きな役割を果たしている。

 

 高松市の南西部・川岡地区にある岡本荘(香川元紀施設長)は1988年に開所した入所定員90人の特養ホーム。地域住民の交流の場になっている椿温泉を併設しており、開館の午前10時前になると多くの住民が訪れる。

 

 椿温泉はラドン含有の単純弱放射能冷鉱泉で、痛風や動脈硬化症などに効用がある。大浴場のほか、打たせ湯、踏み湯、水流風呂、ジェットバス、サウナもあり、入館料(大人550円、子ども350円)を払うと、各種リハビリ機器やマッサージ器が無料で、プロのマッサージ師による施術が格安で利用できる。保健師の健康相談も受けられる。

 

 温泉は91年の岡本荘の増床工事の際に掘り当てた。当時、施設長だった石川理事長が「温泉に行きたい」という利用者の声と、施設に近い香南町や香川町(平成の大合併で高松市と統合)の住民が利用できるデイサービスがないことを憂い、何とかしたいと業者にボーリングを依頼した。

 

 地域住民が施設の行事の際には必ず手伝いに来てくれることへの感謝とその恩に報いたいという思いがあった。

 

 椿温泉ができたことで香南町や香川町の住民は、デイサービスと同等のサービスを利用できるようになった。川岡地区の住民には気軽に利用できる憩いの場、サロンとして欠かせないものになった。

 

 そんな椿温泉と特養ホームの専門性を生かし岡本荘は、さまざまな地域貢献事業を展開している。

 

 一つは高齢者の健康づくりと福祉のまちづくり。施設職員が講師になり、週1回の介護予防運動や月1回の健康づくり講座などを行うと共に、認知症の人や家族が安心して暮らせるよう、サポーター養成講座や予防教室も開いている。

 

 二つ目は施設のバスを活用したコミュニティバスの運行。1日3便運行する巡回バスは、椿温泉を発着点に12カ所の停留所を1周約40分かけ巡回しており、住民は椿温泉への送迎はもとより、停留所間を無料で乗り降りできる。

 

ラドン含有の椿温泉の大浴場

ラドン含有の椿温泉の大浴場

 

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