東日本大震災から4年 福島の児童養護施設が抱える不安

2015年0311 福祉新聞編集部
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線量を計る神戸園長。洗濯物干し場の地面にはコンクリートを打った

 2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、4年がたつ。しかし、活気を取り戻した事業所や再建にこぎ着けた施設がある一方、人材不足や原発事故の影響がいまなお続く。まだまだ模索している福祉関係者が多く、その歩みはさまざまだ。何年目であろうと「自分事」として考えることを忘れまいと、被災した人たちのもとを訪ねた。

 

 福島では、放射能による健康被害から子どもの命を守る闘いが今も続いている。

 

 児童養護施設青葉学園(福島市)では、50人の子どもたちが少人数グループに分かれて暮らしている。

 

 吾妻山に見守られ、周辺の果樹畑に桃や梨の花が咲く季節はかぐわしい光景が広がる。それなのに近所で除染作業中だったり、行き場のない除染ごみを覆うブルーシートが視界に入ったり。見渡して神戸信行園長は「悔しくて仕方ない」と言う。

 

 学園の本館そばには空間放射線量のモニタリングポストがある。

 

 除染しても、雨が降って土が流れたりすれば地形や家屋の条件によって放射線量の高いホットスポットが生じる。外部被ばくを避けるため、いまだに定期的なチェックと除染作業が必要だ。

 

 建物やフェンス際など、業者の手が届かなかった細かな部分はボランティアが除染してくれた。洗濯物干し場は、線量低減のため地面をコンクリートで覆った。

 

 より避けたいのが、食事を通して体内に放射性物質が取り込まれる内部被ばく。毎日3度の給食のため、食材はすべて食品放射能測定器にかけて検査している。寄贈を受け敷地内に出来た測定室は、近隣の人にも利用してもらっている。

 

 神戸園長は「健康への影響はすぐに現れるものではないと言われるが、一つひとつの値は小さくても、育ち盛りの子どもに蓄積されていくことは怖い。子どもは不安を口にしない。とにかくデータを取って可視化しながら子どもを守る努力と営みを日々していくしかない」と語る。

 

 福島県は2011年度から「県民健康管理調査」の一環で、原発事故時に18歳以下の子ども約37万人に継続的な甲状腺超音波検査をしている。小児甲状腺がんのリスクが指摘されているためだ。

 

施設の外にはモニタリングポストがある

施設の外のモニタリングポスト

 

 

➡次ページ 子どもたち一人ひとりに健康手帳

 

 

 

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