児童養護施設をやめない職員の共通点

2015年0410 福祉新聞 寄稿者
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 今、公益財団法人資生堂社会福祉事業財団がNPOSTARS(資生堂海外研修交流研究会)と協働で、「児童福祉施設従事者のキャリア形成に関する意識調査」を研究調査している。

 

 この調査の興味深いところは、辞めた原因の追究ではなく、勤続10年を超えた人たちがいかにして続けられたのか、成功体験を分析することに焦点を当て、その理由を調査することにある。

 

 プレ調査の結果、「孤立しなかった」「民主的に意見を聞いてくれた」など、今振り返ると、辞めないためにはこういう条件がそろえばいいというのが自然と導き出された。

 

 ある10年目の職員はこう述べている。

 

 「1年目、自分はいる意味あるのかな、という思いでいっぱいだった。分からないことを聞きにくい状況だった。

 

 2年目、後輩ができたことが転機となり(相談する立場からされる立場へ)、話し合える相手が増えたことの喜び。かかわり続けたことが子どもの変化に現れたこともきっかけとなり、今の自分や施設に満足している。いろんなことを任せてもらえる。

 

 研修等に参加し人脈ができたことで施設での孤立感が解消された。退所児童のアフターケア(遊びに来るなど)が増えてきたこともやりがいにつながっている。そうした常に学べる環境があることで、日々成長している自分に手ごたえを感じた」と語っている。

 

 今の自分に「どちらかというと満足」と答えた人から見えるものは、賃金の善し悪しではなく、子どもと一緒に成長している実感を得られたら職員は辞めない。個の集団としてチームがまとまっているという実感が、自分の仕事や施設に誇りを感じ、その誇りこそが幾多の苦難を乗り越えさせてきたという。

 

 全国児童養護施設協議会の調査では、児童養護施設職員の平均勤続年数は7・7年で、他業種に比べて定着率の悪さが課題となっている。これでは専門家は育たない。先輩や上司が自分のことをよく分かってくれたという思いが早期の離職をとどまらせ定着へとつながる道筋なのであろうか。

 

 

施設での食事の様子

施設での食事の様子

 

 

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