ケアの脱・丸投げ

2015年0415 小國英夫・社会福祉法人健光園理事長
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社会福祉法人健光園理事長

 所得階層4段階で要介護5の利用者が個室ユニット型特別養護老人ホームに入所すると、保険給付+1割負担+居住費負担+食費負担の合計は年間600万円となる。

 

 しかし、施設経営の観点で考えると、600万円でも少ないぐらいである。何よりも職員の給与等は他の産業に比較してかなりの低賃金である。また、夜間は1人の職員で20人のお世話をしなければならない。昼間でも1ユニット(利用者10人)に複数の職員がいる時間帯は決して長くない。その結果、職員の定着率はなかなか向上しない。

 

 これをいかに改善するか。高コストの最大の原因は「職員のみでケアする閉じられたシステム」にある。高齢者のケアを社会が施設に丸投げする結果として高コストになる。

 

 介護保険制度は「ケアの社会化」のための保険として誕生したはずである。社会化とはみんなで助け合うことで、決してケアを外部化(丸投げ)することではない。ケアとは人生を大事に生きることであって、ケアを商品として社会サービスに任せることではない。それは自分の人生を粗末にすることである。

 

 長寿社会では誰でも要支援・要介護・認知症になる。若い人たちもそうした人生をどう生きるべきか学習し、予備体験すべきである。ケアは誰にとっても人生の重要な営みなのである。

 

 したがって、特養なども要介護の人たちだけが利用するのではなく、地域資源として地域のすべての人たちがその資源を主体的に最大限活用して、より良いケアの在り方を学習し、住み良い、暮らし良いコミュニティを創らなければならない。

 

 そのために、企業や公的機関は介護休暇やボランティア休暇を有給休暇とし、多様な取り方を認めるべきである。さらには、職員教育の一環として3~6カ月間程度、福祉施設等に派遣してはどうか。また、認知症サポーターになった学生や生徒の実習の場とすることも有効である。

 

 長寿高齢社会をより良く生きるために、また市民・住民主体によるコミュニティ再生のためにも、福祉施設をすべてオープンシステム化(地域資源化)し、当事者と家族を含むすべての人たちの相互学習の場とすることが喫緊の課題である。これは当事者が主体性・社会性を回復するためにも効果があるのではないか。

 

150413談話室子供

 

 

 

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