見た目そっくりムース食 介護食のいま

2015年0430 福祉新聞編集部
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食事のようす

 施設利用者にとって大きな楽しみになっている食事。近年、刻み食やミキサー食だけでなく、ソフト食やムース食などを利用する施設が増えてきました。また、高齢者向け介護食品の市場も拡大されてきました。そこで介護食の現状をリポートするとともに、施設で有効活用するにはどうすればよいかを、管理栄養士の川﨑理子・日清医療食品㈱課長に伺いました。

 

川﨑理子氏(管理栄養士。日清医療食品(株)営業本部受託管理部受託業務課課長。農林水産省の「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」の委員などを務める

川﨑理子氏
(管理栄養士。日清医療食品(株)営業本部受託管理部受託業務課課長。農林水産省の「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」の委員などを務める)

 

高齢者の食事とは

 

 高齢者施設の食事には、さまざまな食種・形態があります。特にそしゃく・嚥下困難な人にはソフト食やムース食、刻み食、ミキサー食などの介護食が提供されていますが、介護食の形状は、施設や高齢者の状態によって調整が必要になります。

 

 また、市販されている介護食品については、農林水産省が昨年11月に「スマイルケア食」という愛称と選び方の基準を定めています。

 

 嚥下機能の弱い高齢者の場合、食事を飲み込みやすい食塊にすることができず誤嚥するため、誤嚥性肺炎などの事故が起きやすくなります。刻み食などは大きさを整えることが大事ですが、リスクになることもあります。

 

 事故防止を含め高齢者の食事では、【表】のようなことに気をつける必要があります。食べにくい食品を取り除く前に、切り方や調理法などで食べやすいように工夫することも大切です。そうしないと献立が偏り、飽きられてしまいます。

 

150427表

表 高齢者の食事のチェックポイント

 

施設で活用するには

 

 最近は新たな調理法が開発され、多くの介護食品が市販されていますが、高額なものも多く、すべてを市販品で対応するのは困難です。そのため柔らかくするのに時間のかかる食材や、ペースト状にしにくい肉や魚の主菜は、市販品で対応するなどの工夫が必要です。

 

 市販品を有効活用するには、高齢者の嚥下機能を把握する必要があります。市販品には日本介護食品協議会が定めた「UDF(ユニバーサルデザインフード)マーク」と区分があるので参考にし、使用できるか否かを判断する必要があります。

 

 高齢者の体調や料理によってはむせたり、食べられなかったりする場合もあるので、介護職員と協力することが大切です。

 

 市販品の活用は、高齢者のQOL(生活の質)の向上や厨房運営においても効果的です。市販品を使用することで他のサービスに手をかけることもできます。

 

 施設で介護食が増えれば、手間や負担も比例します。2040年には523自治体が人口1万人を割ると言われています。それを踏まえると各施設で厨房職員を含む職員の確保策や負担軽減策の検討が必要な時期なのかもしれません。

 

統一基準作成を

 

 形態やかたさの基準があれば安全な食事が提供でき、高齢者のQOL向上に役立ちます。施設の介護食は現在、各施設でかたさの基準を決めていますが、その基準を統一することでより介護食品が普及するのではないかと考えています。

 

 高齢者や家族が「スマイルケア食の分類Aを食べています」などと伝えることで、分類を参考により適した献立作成ができます。在宅から施設に入所したり、施設間を移動したりする場合も情報が共有できれば、移動先ですぐに対応できます。

 

 こうした地域連携が安全な食事の提供につながり、地域包括ケアの実現にも役立つと思います。

 

➡次ページ ブロッコリーに成形した3Dムース食も

 

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