虐待疑われリフト導入 表皮剥離や内出血防ぐ

2015年0529 福祉新聞編集部
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開所時から個浴にリフトを付けていた

開所時から個浴にリフトを付けていた

 

 導入に際しては「1台入れて様子を見てからで良いのでは」という声もあったが、複数ユニットで共有していては移動に時間がかかり使われないと判断。4ユニットに1台ずつフランスベッド㈱の床走行式リフトを入れた。

 

 導入後すぐに使い始めたのは、職員6人中3人が60歳代のユニットだった。ユニットリーダーの前田和子さんは「体重が75㌔ある男性の移乗は2人介護でもつらかった。リフトは初めてだったが抵抗感はなかった」と当時を振り返る。しかし、ほかのユニットは使わずじまい。特に若い男性職員は全く使おうとしなかった。

 

 それでも田上施設長は「表皮剥離や内出血をさせないために絶対に使わなくてはいけない」と根気強く職員を説得。月1回来苑する作業療法士が「拘縮のある人の移乗はリフトの方が良い」などと使用を勧めたことで徐々に使われるようになり、導入から2年半かかりようやく全ユニット、全職員がリフトを使うようになった。

 

 現在、入所利用者6人が居室でリフトを使っているが、11年10月から12年9月までの1年間に27件あった表皮剥離、21件あった内出血などの事故・ヒヤリハットは激減。リフト使用者に限れば全くなくなった。

 

 「虐待を疑われることも、事故報告書を書くこともなくなった。『リフトで包み込むように移乗してくれる』と家族の評判も良い。腰痛があっても年をとっても安心して働ける」と前田さんは話す。

 

 「リフトを使うのは利用者のためという考え方がようやく浸透した。全職員が使えるようになって本当に良かった」と語る田上施設長。シートの数を増やしたり、個々に合ったシートを職員が選べるように技術を向上させたりするなどまだまだ課題は多く、「ようやく始まったところ」と気を引き締めている。

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