特養の2階に学童保育を併設 デイの車で送迎も

2015年0605 福祉新聞編集部
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ぬくもりある木造の部屋で宿題をする子どもたち
ぬくもりある木造の部屋で宿題をする子どもたち

 愛知県西尾市の社会福祉法人せんねん村(中澤仁理事長)は、昨年10月に開所した高齢者施設「せんねん村矢曽根」の2階に小学1~6年生が利用できる学童保育「キッズクラブ」を設けた。地域貢献活動の一環として開いたもので、土曜日や祝日、春・夏・冬休みなども運営。施設内には子どもたちの元気な声があふれている。

 

 「ただいま~」。デイサービス用送迎車から出てきた子どもたちが、ランドセルや手提げカバンを抱えながら勢いよく施設の中に飛び込んで来る。平日の午後3時過ぎに見られる日常の光景だ。

 

 同施設は、ユニット型特別養護老人ホーム(定員100人)、ショートステイ(20人)、認知症高齢者デイクラブ(24人)、ケアプランセンターなどからなる複合施設。キッズクラブ(36人)も「地域の人々の暮らしを支え、共に歩み続ける」という同法人の使命として取り組んだ。

 

 1999年に設立した同法人は「同市に根を下ろしたサービスを行う」を方針に高齢者中心の事業を展開してきた。児童分野は公立保育園の民営化に伴い、2006年に保育園の運営を受託したのが始まりで、「高齢者分野の収益を必要以上に積み立てず、地域の次世代の子どものために使おうと考えた」と木下典子・法人本部長は語る。

 

 背景には、トヨタ自動車の子・孫会社が多い同市ならではの保育・子育てニーズとして、土・日や祝日などに出勤する労働者やそのために店を開く自営業者、ブラジルなどから働きにきた外国人のためのサービスが求められていたことがあった。地域に根を下ろす法人として、子どもの問題に目を向けないわけにはいかなかったという。

 

 その後も同法人は、高齢者事業を進める一方、11年には定員120人の保育園の運営を受託。他園より遅い夜7時まで開所し、休日保育や障害児保育にも率先して取り組んだ。「ほかでやっていないサービスを創出するのが自分たちの役割だと考えた」と木下本部長は振り返る。

 

デイの車で送迎も

 

 キッズクラブを始めたのも、三つの小学校で運営する児童クラブがいっぱいだったことや高学年の児童が利用できないことがあった。施設に子どもたちが来ることで世代間交流が生まれ、子どもと高齢者双方に良い効果が生まれることも期待した。

 

 運営面は地域の特性を考慮し、休日は日曜日と年末年始だけ。平日は最長午後7時まで、土・祝日、春・夏・冬休みなどの長期休暇日は朝7時半から午後6時半まで開いており、1日だけの単発利用も受け入れている。

 

デイサービス用送迎車で施設に通う子どもたち

デイサービス用送迎車で施設に通う子どもたち

 

 対象は小学1~6年生で、特別支援学級・学校の児童も利用できる。また、デイサービス用送迎車の空き時間を使い、各学校の授業終了時刻に合わせ学校まで迎えにも行っている。

 

 そんな努力もあり、開所時に3人だった利用児は、今年3月には11人、4月には29人に増えた。特別支援学級の児童の利用はまだないが、親の口コミで着実に評判は高まっているという。

 

 階段脇の認知症デイクラブの高齢者に「ただいま」と声を掛けてから2階に上がる子どもたち。その姿を笑顔で見つめる高齢者や職員。宿題に追われなかなか交流できないが、土・祝日などには一緒にピザやパンを作ったり、歌を歌ったりして交流しているという。

 

 「子どもたちが来ると高齢者がみんなすごくうれしそうな顔になる。子どもたちの心の中にも暖かい気持ちが育っていると思う」という木下本部長。送迎のガソリン代や人件費などを考慮すれば法人の持ち出しは多いが、同市の福祉のために今後も貢献し続けたいと話している。

 

 

 

 

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