学校でも合理的配慮を 文科省が障害者差別解消法の指針づくり
2015年06月29日 福祉新聞編集部
文部科学省は17日、障害者差別解消法の施行に向け、私立学校など民間事業者向けの指針策定に乗り出した。同日、障害者団体の代表や有識者で構成する会議を立ち上げた。障害者からの相談や異議申し立てを受け付ける体制などを議論し、7月に案をまとめる。9月に指針を告示する。
検討事項は①指針の適用対象(事業者、事業者の行為の範囲)②不当な差別的取り扱い・合理的配慮の考え方と事例③障害者からの相談体制の整備④文科省における事業者からの相談窓口−。
同日発足した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の実施に関する調査研究協力者会議」(主査=宮﨑英憲・東洋大参与)が議論する。委員として私立幼稚園、公立・私立小学校の代表も参画している。
指針の対象となる民間事業者は幼児教育から高等教育の機関のほか文化、芸術、科学技術の関係機関など幅広くとらえる予定。また、合理的配慮の内容は個別の話し合いで決まるため、事業者の相談体制、話し合いの手順などが重要になる。
2016年4月施行予定の同法は、各省庁に指針の策定を義務づけている。政府は今年2月、同法の基本方針を閣議決定し、具体的な対応事例を挙げて考え方を示している。各省庁はそれに沿って、より詳細な事例を盛り込んだ事業分野ごとの指針を作る。
同法は障害者への合理的配慮の提供を規定。障害者が他の人と平等に教育を受けたりできるよう教育機関は入試や授業において、個別の事情に応じた変更や調整をしなければならない(民間事業者は努力義務)。
文科省によると、14年5月の義務教育段階の全児童生徒数は1019万人。そのうち、特別支援教育の対象者は34万人(3%)だ。また、日本学生支援機構の同時期の調査によると、国公私立大学に在籍する障害のある学生は1万4127人。
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