<特殊浴槽>
「抱えない」の徹底を

2013年0826 福祉新聞編集部
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 東京都練馬区にある特別養護老人ホーム「サンライズ大泉」(番場隆市施設長、定員50人)は、福祉機器を積極的に活用している特養ホーム「日の出ホーム」を運営する社会福祉法人芳洋会が2012年11月に開所した3階建てのユニット型施設だ。

 

   「抱え上げない介護」を目指し、福祉機器の活用を前提に設計。利用者全員分の調整機能付き車いす、移動可能な据え置き式リフト2台などを整備するとともに、日の出ホームから職員を異動させて3分の1の職員がリフトなどの使用経験をもつ状態で開所した。

 

   浴室は1階に個浴2カ所(ショートステイ分含む)、2~3階に個浴各1カ所、特浴(機械浴)各1カ所を設置した。ユニット型では「ユニット数×個浴+特浴」という考え方が基本にあるが、敷地面積が狭いため浴室は6カ所とし、平均要介護度が4・5(現在4・0)になることを想定して特浴を増やした。

 

   特浴には、酒井医療㈱の「スーパーラダリバス」を設置。番場施設長が以前勤めていた施設で使っていた経験があり、コンパクトでスペースを取らないこと、上下動する担架の操作が簡単なこと、シャンプーがしやすいよう頭部だけ下がる機能が付いていて仰臥位でも座位でも入浴できること、担架と浴槽の間が開き2方向から介護できること、体を温めるバブル機能が付いていることから選んだ。

 

   個浴には、㈱メトスのバスリフト付き浴槽「個粋」を設置した。リフトを付けなくても抱え上げない介護ができること、パッケージ料金で施工費が安いことから選んだ。

 

   特浴の使用者は17人。個浴は16人がバスリフト、17人が軽介護で入浴している。入浴当番の職員は午前と午後に分け、各4人を担当。居室から浴室への誘導、着替え、入浴まで原則1人で行う。「抱え上げる動作がないので負担を感じずにケアできる。個浴も機械浴も操作が簡単で使いやすい」と、ケアワーカーの澤井芳則さんは言う。

 

 「利用者に『重たいでしょ』などと気を遣わせる介護は絶対ダメ。そうしないためにも個浴にリフトやバスリフト付き浴槽を付けるのは当たり前。2階から3階に利用者を移動させる負担などを考えれば特浴も2カ所にして良かった」という番場施設長。日の出ホームの経験とノウハウを生かした浴室・浴槽は、利用者にも職員にも優しい入浴ケアの実現に役立っている

ここがポイント! 入浴手順考えよう

 入浴手順は、脱衣所や洗い場の広さで変わる。狭いとリフトや着替え用ベッドを入れられないので、抱え上げる介護になりやすい。

 

   サンライズ大泉は、特浴の脱衣所が狭くリフトなどを入れられない。抱え上げないために考えたのは、車いすのまま浴室内に入り、担架へ平行移乗し、担架上で着替えるという移乗ケアの回数を減らす手順だ。ただ、担架上の着替えは衣服が濡れやすい。そうしないためにバスタオルを多く敷くなど細心の注意を払っている。これまでに「濡れて気持ち悪い」といった声は一切出ていないという。

動線考え負担軽減

 職員の動線に配慮して浴室を配置すると、職員の負担軽減につながる。個浴と特浴の箇所数によっても負担は変わる。    サンライズ大泉は、個浴と特浴を隣り合わせにし、職員の動線上になるようサービスヤード(職員室)の近くに配置した。手助けが必要な時はすぐ別の職員を呼ぶことができる。

 

   また、特浴を2階にも3階にも配置し、階をまたいで利用者を移動させないようにした。移動に伴う事故の危険や時間のロスが無くなり、職員の負担増も防ぐことができた。

入浴の選択肢増やす

 シャワー浴やミスト浴は、失禁や便などで背中が汚れた場合などにお湯を張る手間が無く、すぐに入浴できる。夏場など湯船に浸かりたくないという場合にも便利だ。

 

   日の出ホームは「一般浴」「個浴」「座位特浴」「仰臥位特浴」に加え、座位のまま入るシャワー浴を導入。「足が痛くて一般浴の階段を下りられない」「今日は暑いからシャワー浴が良い」など利用者の希望を聞いて臨機応変に活用している。

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