<ベッド>
ケアの対応策増やす

2013年0225 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

快適な眠りを確保 看取り介護当たり前に

 埼玉県看護協会が母体の社会福祉法人「えがりて」が運営する特別養護老人ホーム「吹上苑」(関口敬子施設長)は、4種類のマットレスと9種類のポジショニングクッションを駆使して、看取り介護や褥瘡予防に取り組んでいる。

 

   吹上苑は2000年以来、看取り介護に力を注いできた。この10年間に施設で看取ったのは170人で、施設外で亡くなったのは14人。「吹上苑で苦しまずに穏やかに看取ってもらえた」と家族に大変感謝されているという。また、ベッド稼働率は全国平均を大幅に上回り、経営面でも大きく貢献している。

 

 「利用者が看取り期に入ってからも、褥瘡を予防し、快適な睡眠がとれるのは、体圧分散型や高機能型のマットレスがあるからです」と関口施設長は話す。吹上苑では現在、介護ベッドの購入時に付いてくる標準型(78枚)、フランスベッド社製の褥瘡予防マットレス「インテグラ」(35枚)、タイカ社製のエアマットレス「アルファプラ・ソラ」(7枚)と体圧分散型マットレス「同・F」(4枚)を使用している。

 

   入所時に褥瘡のできやすさをOHスケール(褥瘡予防点検表)で評価し、4種類のマットレスの中でどれを使用するか判断している。

 

   昨夏には骨折して2カ月間動くことができなかった102歳の利用者にソラを使い、褥瘡を全くつくらなかった。ただ、インテグラの使いすぎには注意している。寝返りを打てる人に使うと拘束や自立の阻害になりかねないからで、発赤が消えたり、寝返りが打てるようになったりしたら標準型に戻している。

 

   一方、クッションはタイカ社製の「アルファプラ ウェルピー」とラックヘルスケア社製の「ロンボ(スネーク)」を使っている。ブーメラン型やスティック型、スネーク型など形や大きさの違うクッションを利用者の状態に合わせて使うことで良肢位や良座位を保つようにしている。

 

   当初はクッションの使用についてそれほど重視していなかったが、加島守・高齢者生活福祉研究所長の指導を受け、認識は大きく変化。今ではケアの質を向上させるのに欠かせないものになっている。

 

   利用者に合わせてマットレスとクッションを使うことで、心身がリラックスし、拘縮や褥瘡の予防につながった。利用者は快適に眠ることができ、職員の負担も少なくなった。そして、吹上苑では看取り介護が特別なことではなく、当たり前のことになった。

 

ここがポイント! 状態の変化に即応

 利用者の状態に合わせてマットレスやポジショニングクッションを使い分けるためには、状態を的確に把握し、変化に応じて即応できる態勢が必要だ。

 

  吹上苑では、利用者に最も近いところにいる担当の介護職員が、発赤の有無や利用者の表情・動きなどから状態の変化を把握し、どんなマットレスを使うかを判断。リハビリ・事故予防委員や看護課が中心となって検討し、臨機応変にマットレスを交換している。

 

  マットレス以上に難しいのがクッションの選び方・当て方だ。吹上苑では、担当の介護職員とリハビリ・事故予防委員が相談し、利用者の表情・動きなどを見ながら当て方を試行錯誤。加島所長にも相談し、指導を受けている。また、複数のクッションを使ったり、当て方が複雑だったりする場合は、当て方の写真をベッド脇に掲示し、誰が当てても同じになるよう徹底している。

 

   例えば、寝たきりのAさんの場合、頭にブーメラン(大)、腕にスティック(小)を抱え、膝と足首にピロー(小)を挟んでいる。きちんと当てているかどうかは表情・動きなどから判断し、当てていない場合は、きちんと当たるまでやり直している。

 

   こうした使い分けをするには、予備のマットレスやクッションを常備しておかなくてはいけない。経費的にもかさむことになるが、吹上苑ではさまざまな種類のマットレス・クッションを常備し、試用できるようにしている。

 

   また、福祉機器のデータはすべてパソコンで管理。誰がどんな介護ベッド、マットレス、クッションを使っているか、予備の機器がどこにいくつあるかをきちんと管理することで、必要な時にすぐ使えるようにしている。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加
1 2