見捨てない 井本義孝・千葉県中核地域生活支援センター連絡協議会長

2012年1224 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 千葉県中核地域生活支援センターは、8年前に官民共働の地域福祉支援計画の一環として、誰もが安心して地域社会で暮らせることを目指し設立したものです。

 

 健康福祉千葉方式ともいわれ、県内13圏域で実践してきました。その特徴は、365日24時間の相談に応ずることのほか、①案件をたらい回しにしないで解決する(対象者が自立姿勢を取り戻すまで伴走)②相談者が権利を侵害されている場合は、関係機関との連携で権利擁護を重視して支援する③虐待等加虐性事案のケースでは、被害者の権利保護・擁護はもちろん、加害者更生の視点も持つなど他の支援機関で困難事例でも独立支援機関の特徴を生かして支援することです。

 

 少子超高齢社会になって年功序列制は薄れ、実力主義の名の下で市場競争原理が強まる弱肉強食世相の現在、社会的弱者と呼ばれる人々は増えるばかりです。昨年まで10年以上続いていた年間3万人超の自殺者数の異常さ、全国で70万人以上もいる閉じこもりの人々、老人の孤立死、児童・高齢者のいじめや虐待、そして生活保護世帯の増加は激動社会の受難者がいかに多いかを語っています。

 

 今年6月、私どもも千葉県に定員70人の特別養護老人ホームを開設しました。土地代を別にして建設費は約7億円。うち国庫補助は2億4000万円、残る4億6000万円は法人負担でした。一法人にとってこれは大変な負担です。千葉県内の待機者はおよそ1万7000人。国全体で約42万人と言われます。

 

 今後の趨勢も考えれば、もはや施設対応だけでは限界に来ています。となれば嫌でも在宅支援の強化が必要です。孤立する人には誰かが隣人となり寄り添い、徹底的に相談に応じることが大切なことは既に「いのちの電話」が証明しています。

 

 1990年代から最近まで続いている構造改革規制緩和の中で、家族・地域社会の崩壊が進んで、誰の支援も受けられず孤立を深めている人が地域に見られるようになりました。いつの時代にも制度の隙間で孤立し支援の手が届かない人がいることを私たちは知っています。

 

 毎年8万件から9万件に及ぶ寄り沿い型総合相談事業を展開してきた「千葉県中核地域生活支援センター」8年の試みが正しく評価され、今後の在宅福祉対策の充実に少しでも貢献できればと切に願うものです。

 

 コロニーの時代から施設福祉中心時代(親亡き後の切実な思い)、そして、住み慣れた地域での家庭生活支援こそ、今私たちに問われている福祉そのものではないでしょうか。  (社会福祉法人ミッドナイトミッションのぞみ会常務理事)

    • このエントリーをはてなブックマークに追加