内部留保の悩みへの提案
濵田和則・晋栄福祉会理事長

2013年0325 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 有識者や財務省調査等、多方面から社会福祉法人に多額な内部留保のあることが指摘されている。また、指摘事項の中には特別養護老人ホームの例で、内部留保額の大きい法人ほど、利用者負担軽減事業に消極的とのデータも公表されている。

 


 2000年以前の措置時代は年間人件費相当額6カ月以上の剰余金が累積した場合は、民間給与改善費加算が支給停止になるなどのペナルティーがあったと記憶している。このため年度末が近づくと各種引当金への積み立てや、物品購入、改修工事などで資金を消化。その一方で、サービスの質改善の名目で重点投資や職員の処遇改善も行われた。

 

 つまり、この状態が改善されない限り、施設・設備更新のための費用や運転資金相当額と特定目的の寄付金等を除き、一定額を超える内部留保が蓄積されたと判断できる場合は、収入面で一定の給付の抑制が行われるか、資金の拠出や返還が行われる仕組みが創設されるのは、やむを得ないのであろうか。

 

 しかしながら、社会福祉基礎構造改革以前から自立経営へ向けて資金使途制限緩和が要望されてきたわけなので、前述の旧措置費時代のようにこういった規制で、公益的取り組みを進めさせるよう、いわば資金使途の面において社会福祉法人的規範を維持するのは如何ともし難い。

 

 よって、例えば都道府県や市区町村社会福祉協議会、施設種別団体、また社会福祉関連職能団体などの生活困窮者支援や、協業型支援事業の公益団体へ一定程度、資金を振り向けられるようにしてはどうだろう。特定基金化して拠出者が分かるようにする、あるいは拠出を行うことで関係官庁や地域から評価される仕組みなど、ポジティブに資金拠出が進むような試行の方法など、思いつくままの提案もしておきたい。

 

 近年「新しい公共」論議では、NPOや当事者組織など社会福祉法人以外の活動事例紹介が相当数あった。一方、社会福祉法人も全国社会福祉施設経営者協議会等で事例紹介されているが、その数や規模は、一部を除き、組織的支援取り組みとは受け止められるほどには、まだ至っていないと感じる。これらの各種支援に関する取り組みには客観的な事業評価の仕組みがまだ明確と言えず、トピックス的な取り上げ方が少なくない。

 

 例えば、これらの支援取り組みには客観性のある事業評価の仕組みを構築し、社会福祉法人の取り組みを総量評価できるようにしたらどうだろう。社会福祉法人や社会福祉事業の公益法人には、主務官庁への事業報告、調書提出が義務付けられているのだから、これらを活用するのも一つの方法と考える。

 

 文字通り「言うは易く、行うは難し」だろうが、自らも含め社会福祉法人が時代のニーズに応え、それぞれのステージに応じた地域生活支援が進められる主体になることが期待されている。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加