小中学校で26年続く「赤ちゃんふれあい授業」 寺田清美教授から報告

2017年0125 福祉新聞編集部
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原宿外苑中学校での授業の様子

 子どもの環境をめぐっては、少子化や待機児童、いじめ、不登校、ひきこもり、虐待、貧困などさまざまな問題があります。子どもは未来を担う日本の、そして世界の宝物です。子どもの環境と福祉の融合について真摯に前向きに考えていかなくてはいけません。

 

 私は、赤ちゃんと児童生徒が触れ合う「赤ちゃんとのふれあい授業」を26年間継続しています。子どもが嫌だと語る男の子が、赤ちゃんと触れ合うことでわずか数分の間に笑顔に変化するのを、何度も見てきました。赤ちゃんの持つ力の偉大さを痛感します。

 

 少子高齢化・核家族化の進行とともに、子どもたちが赤ちゃんと触れ合う機会が減少してきました。厚生労働省の調査によると、約6割の子どもたちが日常生活の中で赤ちゃんと交流する機会が無く、約8割の母親がわが子が初めて抱く赤ちゃんであったということです。こうした状況のなか、小中学生が赤ちゃんと触れ合う機会を積極的に設けることで、子どもたちに「命」のバトンをつなぐ環境を整える必要があると考え、この授業を推進してきました。

 

 「赤ちゃんとのふれあい授業」の効用を五つ挙げたいと思います。

 

 ①子ども時代に赤ちゃんに対する知識を持つ

 

 子どもが親の思うように言うことをきかないのは当たり前であるなど育児に関する知識があれば、将来虐待防止につながるはずです。

 

 ②自己肯定感を育む

 

 子どもたちは赤ちゃんと触れ合いながら、自分も同じようにかわいがられて育ったことを想起します。また赤ちゃんの世話をすることで、自分が役に立つことを認識します。

 

 ③赤ちゃん本位である

 

 この授業は、赤ちゃん本位に進められます。赤ちゃんの生きる力を信じて、その力を引き出せるように環境を整え、待ちます。

 

 ④赤ちゃんの行動から、生き方を学ぶ

 

 赤ちゃんは、思いきり泣いて笑って「表現することの素晴らしさ」や、なめて触って、冒険して「興味を持って生きることの楽しさ」、不安になり甘えたい時に受け止めてくれる「安心基地〝母親〟の大切さ」を教えてくれます。

 

 ⑤赤ちゃんへの愛着

 

 赤ちゃんが病気になれば心配し、しばらく会えないと気になり、人間が人間に対して、愛着を感じることは最も大切なことです。

 

 愛着を感じ、人を信頼し、コミュニケーションを育んでいける。そのような環境をつくり上げていくことが保育現場には必要であり、園長・主任には地域連携を積極的に実施することが、今まさに求められています。

 

 子どもと大人、福祉と環境を融合していくことが可能となるような光が、今年は見えて来ることを希望します。

 

寺田清美さん

寺田清美教授

 

【略歴】東京成徳短期大学教授。保育歴26年(係長副園長)の経験もあり、社会福祉士の資格も持つ。厚生労働省の社会保障審議会保育専門委員会の委員なども務めている。

 

 

 

 

 

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