「あずましい場」求め30年 精神障害の当事者のみで運営する全国初の作業所

2017年0323 福祉新聞編集部
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すみれ第1の室内。「のん気、根気、元気」がモットーで、このほど「憩」という色紙も飾った

 NPO法人精神障害者回復者クラブすみれ会(宮岸真澄理事長、札幌市)のすみれ共同作業所が昨年12月、設立30周年を迎えた。1986年12月に精神障害の当事者のみで運営する全国初の共同作業所として産声を上げ、「あずましい場」(北海道の方言で「居心地の良い場」)を求め続けてきた。

 

 作業所は現在、地域活動支援センターすみれ第1とすみれ第2に分かれ、それぞれ1日10人超が通う。第1の所長はすみれ会の副理事長も務める石山貴博さん(52)。精神科病院での患者仲間を通じて13年前にすみれ会に通い始めた。

 

 第1の職員は石山さんを含めて6人。全員がもともと精神障害の当事者として通っていた人で、勤務形態は土日に加えて平日も1日休む週休3日制だ。

 

 石山さんは「今でこそ当事者同士の助け合いが『ピアサポート』などともてはやされるが、そんな美しいものではない。この13年間、毎日のようにもめごとがあり戦争のようだった」と笑う。 

 

 
 すみれ会は70年9月、精神障害の当事者4人で発足。当時、精神障害者の福祉制度は乏しく、会報誌の発行、鍋を囲む例会、行政との交渉などすべてゼロから作り上げた。

 

 宮岸理事長(61)は「作業所の運営は仲間同士の助け合いの一つ。助け合いは泥臭いものだし、作業所の職員になるのに研修や資格はいらない。就労支援の事業所が増える中、居場所であり続けることが何より大切だ」と力説する。

 

 悩んでいる仲間を自宅に招く、深夜に電話で話を聞く――。仲間としてやれる範囲のことはしてきた。職員になった途端に職員であることを意識するあまり、そうした行為を控えるような昨今の「ピアサポート」とは違う。そんな思いが宮岸さんにはある。

 

 すみれ会はこのほど、認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ。代表理事=大島巌・日本社会事業大学長)のリリー賞を受賞した。3月10日の表彰式で「日本のピアサポートの草分け」(大島代表理事)と紹介されると、石山さんは「原点を忘れずに今まで通り、転んだ人に手を差し伸べるような自然な助け合いをしていく」と語った。
    

リリー賞の表彰式に出席した石山さん(左)

 

 

 

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