就労B型は平均工賃で成果計る 2018年度障害報酬改定
2017年11月08日 福祉新聞編集部
厚生労働省は10月31日、障害福祉サービスの就労継続支援B型事業の基本報酬について、利用者の平均工賃をもとに基本報酬を設定する考えを明らかにした。同A型事業については利用者の平均労働時間に応じて設定する。いずれも事業所の成果に応じてメリハリをつける方針。一方、特にB型は稼ぐことだけを目的とした利用者ばかりとは限らない実態を踏まえ、一定の緩和策を用意する。
2018年度障害報酬改定の論点として、同日の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」に示した。委員は大筋で賛同したが、B型で工賃を重視しすぎた場合を念頭に「行き場のなくなる人が出ないか心配だ」とする声も上がった。
A型、B型は現在は定員数に応じて基本報酬が区分されている。厚労省は9月13日の同検討チームで成果主義を取り入れる方針を示したが、何をもって成果を計るかは明確にしていなかった。
今回、A型については「利用者の労働時間が長いほど支援コストがかかる」との理由から、その事業所に通う利用者の平均労働時間に着目して成果を計る案を示した。サービス利用開始時に予見できない事情で短時間労働となった場合は、平均労働時間の算定から除くことを検討する。
B型は「高い工賃の稼げる活動にはより多くの支援コストがかかる」との理由から、平均工賃に着目して成果を計る方針。障害程度の重い利用者は、平均工賃の算定対象者から除くことを検討する。
平均工賃を時給でみるか月額でみるかも重要だが、現時点では未定。生産性の高い活動により時給の高い人でも、障害特性から継続的に働くのが難しいと月額の工賃は低くなる。こうした例をどう反映するかは不明だ。
厚労省は「B型の基本報酬のメリハリは緩やかに設定したい」としている。同日はこのほか、就労移行支援、18年4月からの新サービス「就労定着支援」の報酬についても案を示した。
就労定着支援の基本報酬は、過去3年間の就労定着率(就労定着者数/過去3年の利用者数)をもとに基本報酬を区分する。9月13日の同検討チームでは、就労定着率を加算で評価するとしていた。
就労定着支援事業所の要件は「過去3年において、毎年1人以上または平均1人以上、障害者を一般就労に移行させた事業所(就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓事業所)」とする。
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