フリーズドライ加工を障害者の仕事に 全国のメーカーなどから依頼
2017年11月10日 福祉新聞編集部
石川県輪島市の社会福祉法人門前町福祉会の障害者支援施設「ふれあい工房あぎし」(馬渡晋一・施設長)は真空凍結乾燥機を使い、海藻の乾燥食品を製造する一方、全国のメーカーなどからフリーズドライ加工の委託を請け負っている。
1996年に開所した工房あぎしは、施設入所、生活介護、就労継続支援B型からなる多機能型事業所。69人が食品加工など4班に分かれ、日中活動を行っている。
フリーズドライは(1)原材料を圧力釜で蒸し、トレーに詰める(2)冷凍庫で20時間予備凍結する(3)マイナス20度で40時間フリーズドライする(4)粉末処理などをして袋詰めする――という工程で実施。食品加工班の14人の利用者は、原材料に混じったゴミ取りやトレー詰め、袋詰め、清掃などの作業を担う。
1回で乾燥できる量は約80キロ(乾燥後は約10分の1に)。小ロットで委託できる貴重な加工施設として、大学や研究機関、メーカーなどから年間40件に及ぶ依頼があるという。
開所時に、特産のかぼちゃの加工食品の製造・販売を作業の柱にしようと考え、4000万円分の施設整備費で導入した乾燥機だが、依頼が増えるにつれ、作業も委託加工中心に変化。いぎす、ぎばさを乾燥させた自主製品は年間600袋(1袋10グラム入り500円)を製造しているが、年間売上730万円の9割以上を委託加工が占める。
「乾燥海藻の評判は良いが、委託注文の合間に作るのが手いっぱい。開所時に33歳だった利用者の平均年齢は53歳になった。乾燥機や冷蔵庫も同じ年数がたった。高齢化と経年化は大きな課題。いつまでも働けるようにどちらも大切にしたい」と馬渡施設長は話す。
過疎地域の障害者施設に全国から仕事の依頼が舞い込むのは異例。特殊加工できる設備と技術を備えることで、下請け型でも自主生産型でもない仕事づくりに成功したようだ。
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