介護報酬改定を了承 医療と連携強化へ

2018年0208 福祉新聞編集部
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改定案を了承した介護給付費分科会

 厚生労働省は1月26日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・慶應義塾大名誉教授)に2018年度介護報酬改定案を示し、了承された。医療と介護の連携を充実させ、利用者の自立支援や重度化防止につながるサービスを推進する。基本報酬は特別養護老人ホームなどで増額したが、各サービスの事業収入は加算に頼る構造は変わらない。      

 

 介護報酬全体の改定率は昨年12月にプラス0・54%に決まった。厚労省は各サービスの収支差率、同分科会の審議報告などを踏まえて18年4月からの報酬を提示した。

 

 今回の改定では、地域包括ケアシステムを進めるための医療との連携、質の高いサービスの実現に向けた自立支援・重度化防止の推進に関する評価が多く組み込まれた。

 

 医療との連携では、特養の配置医師が深夜などに診療した場合の加算を新設し、一定の医療提供体制を整えて施設内で看み取とった場合の報酬を手厚くする。

 

 ケアマネ事業所が医療機関などと入退院時に連携する評価を充実させ、がん末期に頻回に訪問するなどした場合の加算を創設する。

 

 認知症グループホームでは常勤の看護職員を配置する場合に評価する。

 

 医療と介護を一体的に提供する介護医療院は、2類型のうち医師の配置が手厚い1.型は現行の介護療養病床(療養機能強化型)とほぼ同じ基準、報酬とする。21年3月末までに介護医療院に転換すると加算がつく。

 

 障害者が65歳になっても、これまでの事業所を継続して利用できるよう通所介護、訪問介護、ショートステイで創設する共生型サービスの基本報酬は、通常の介護報酬と区別する。例えば障害福祉の生活介護事業所が要介護者にデイサービスを行う場合、本来の介護報酬の単位数に100分の93を乗じる。

 

 一方、自立支援・重度化防止では、通所介護にアウトカム(成果)評価を導入する。食事や排せつなど日常の動作の状況を測る「バーセルインデックス」を指標とし、一定期間内に維持・改善がみられた場合の加算を新設する。

 

 プロセス(過程)評価として、特養と老人保健施設における褥瘡じょくそう防止の取り組みに加算を設ける。施設系サービスでは排せつに関する計画を立て実施した場合、一定の間、高く評価する。

 

 通所介護や訪問介護、特養などでは外部のリハビリ職などと連携して取り組んだ場合に評価する。

 

 訪問介護の基本報酬は、身体介護中心型は1%以上上げ、生活援助中心型は1%程度下げる。生活援助は来年度創設する新研修(60時間程度)の修了者が提供しても介護福祉士と同じ報酬とする。

 

 身体拘束について職員研修などを義務付け、未実施の場合の減算幅を10%に引き上げる。  

 

 そのほか人材の有効活用に向け、特養とショートステイで見守り機器を導入し、要件を満たした場合に夜勤の人員基準を緩和する。

 

 サービスの適正化では、通所介護の時間区分を2時間から1時間に変えてきめ細かく報酬を設定し、大規模事業所の報酬は下げる。福祉用具貸与は全国平均額を公表し上限額を設ける。

 

 事業所と同じ建物などに住む利用者にサービスを提供する場合の減算は、10%減の対象を一般の集合住宅にも広げ、1月当たりの利用者が50人以上の場合は15%減とする。

 

 各サービスの基本報酬は、特養が約1・8%増(地域密着型特養は約3・1%増)、居宅介護支援(40件未満)が約1・1%増などとなった。しかし「サービスごとの増減は一概には言えない」(厚労省)と言うように、実際には加算の取得などにより事業収入は変わってくる。 

 

 17年の老人福祉・介護事業の倒産は過去最多の111件となり、特養の赤字施設は3割に上るなど、17年度のマイナス2・27%改定の影響は尾を引いている。加えて今回の改定では介護職員の処遇改善に直結する項目はなく、事業者団体からは「本来は基本報酬だけで運営できるようにすべきで、加算ありきはおかしい」といった声も聞かれる。

 

 

 

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