日本社会福祉士会が成年後見促進で手引き作成 市町村間の格差なくす

2018年0322 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
中核機関への期待を語る新井教授(左端)

 日本社会福祉士会(西島善久会長)は7日、成年後見制度の利用促進に関連し、市町村向けの手引きの概要を明らかにした。政府の基本計画に基づいて原則市町村ごとに設置する中核機関の機能を三つに整理した。必要とする人が同制度を利用できる社会を目指し、市町村間での取り組みに格差が生まれないようにする。

 

 手引きは厚生労働省老健局の補助金事業により開発中。完成後の4月上旬にも同会ホームページで公開する。それに先立ち、同日、約500人が参加した都内のフォーラムで同会の委員会(委員長=新井誠・中央大教授、日本成年後見学会理事長)が説明した。

 

 それによると、中核機関が担う第1の機能は個別の相談を受けて支援の必要性を検討すること。本人の親族や地域の福祉・医療関係者らがチームを組んでアセスメントする。

 

 成年後見制度の利用に進んだケースでは、第2の機能として後見人候補者を推薦するなど具体的な手続きを進める。第3の機能は後見開始後、本人、親族、後見人からの相談に対応すること(モニタリング)だ。

 

 手引きはこの3点それぞれについて現状の課題を例示し、中核機関が動く際の手順や留意事項を盛り込む。また、中核機関の先進事例や関係者へのヒアリング結果なども収録するという。

 

 同委員会は「成年後見の利用者数を増やすことが目的ではない。相談を受けて結果を導くプロセスを重視する。また、従来はモニタリングが不十分だったが、それを強化し、結果的に後見人の不正を防ぐ」(星野美子・同会理事)としている。

 

 フォーラムに同席した田中規倫・厚労省老健局認知症施策推進室長は、「手引きは自治体の疑問に答えるものになっている」と評価。中核機関の運営に要する経費については「地方交付税に措置される」とした。

 

 中核機関は専門職団体など関係機関が参加する協議会の事務局を担う。市町村直営か社会福祉協議会などへの委託が想定される。2016年5月施行の成年後見制度利用促進法に基づく政府の基本計画(17年度からの5カ年。17年3月閣議決定)に明記された。市町村は政府の基本計画を受け、その市町村の計画を作ることが努力義務になった。

 

 政府の基本計画策定に関わった新井教授は、同日のフォーラムで「中核機関は成年後見制度に関するものではあるが、極めて有用な社会的なセーフティーネットになる」と期待を寄せた。

 

 成年後見制度をめぐっては、「利用して良かったという声はあまり聞かれない。苦痛だとの声もある」(手引き作りに参加した長谷川和世・認知症の人と家族の会理事)といった指摘がある。

 

 厚労省は「認知症高齢者が増える一方、成年後見の利用は低調だ。潜在的なニーズはある」(谷内繁・大臣官房審議官)とみて、今年4月に社会・援護局地域福祉課に利用促進室を設置する。

 

 

 

(福祉関連書籍)

 

成年後見制度の闇 (月刊Hanada双書)
長谷川学 宮内康二
飛鳥新社 (2018-03-09)
売り上げランキング: 12,204

 

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)
スーザン・フォワード
講談社
売り上げランキング: 681

 

ソーシャルワーカーという仕事 (ちくまプリマー新書)
宮本 節子
筑摩書房
売り上げランキング: 9,943
    • このエントリーをはてなブックマークに追加