措置控え増える養護老人ホーム 老施協が活用を要望
2018年04月02日 福祉新聞編集部
全国老人福祉施設協議会(石川憲会長)は3月9日、養護老人ホームの活用に関する意見書を厚生労働大臣に提出した。自治体による措置控えについて実態調査を行い、老人福祉法の改正も含めて措置控えの解消に向けた検討会を開催するよう求めた。厚労省の担当者は「取り組まなくてはいけないことだと認識している」と答えたという。
養護老人ホームについては、自治体が予算を抑えるため入所者を回さない措置控えが起きており、全国976施設の平均入所率は87%にとどまる。40%に満たない自治体もあり、閉園を余儀なくされた施設もある。
意見書では実態調査は早急に行うこと、検討会は2018年度をめどに開催することと時期を定めて要望。措置控えが起こらないように、例えば養護老人ホームが主体となって入所判定委員会を開催できるようにすることなどを具体案として示した。さらに国の責任として一般財源化による措置控えへの影響を明らかにすることも求めた。
また高齢入所者など11人が死亡した札幌市の無届け施設の火災を引き合いに「運営上の基準を満たした社会福祉施設に入所できれば尊い命は失われずに済んだはず」とした。
この点について3月16日のセミナーで養護老人ホーム部会幹事の平岡毅氏(社会福祉法人カトリック聖ヨゼフ・ホーム理事)は「空床のある養護老人ホームを活用していない、支援が必要な生活困窮者がいるのに行政サービスが届いていない、という二重の欠陥が起きている」と指摘した。
また平岡氏は「養護老人ホーム側から措置入所が必要な人がいることをアウトリーチすることも重要だ」と話した。
なお老施協では、養護老人ホームに介護保険の特定施設入居者生活介護を行うことを推奨している。
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