笑顔引き出す介護ロボ 導入1年の特養、ケアの質も向上

2018年0518 福祉新聞編集部
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テレノイドとの会話で利用者も笑顔に

 介護現場でロボットの導入が進む中、宮城県名取市の特別養護老人ホームうらやす(社会福祉法人みずほ)は、遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」を介護現場では世界で初めて取り入れた。導入から1年以上たち、コミュニケーションを促進するツールとして効果を上げている。

 

テレノイド

 

 「おばあちゃん、昔は何をして遊んだの」
 「おままごとだよ」

 「私もしたことがあるよ」
 「楽しいよね」

 

 テレノイドと利用者が孫と祖母のような穏やかな会話を交わす。
 テレノイドはアンドロイド研究の第一人者、石黒浩・大阪大教授が開発した。身長50センチ、体重2・7キロ。マイク、カメラ、スピーカーが内蔵され、職員(オペレーター)が遠隔操作し、会話をしながら首や手を動かせる。音声に合わせて口も開閉する。リアルな感触と抱き心地は赤ちゃんのようだ。

 

 見た目は「人間」として必要最小限にし、利用者の想像力を刺激し、子どもや孫など思い描く人を投影しやすいよう考えられている。

 

 宮城県によるテレノイドのデモンストレーションが同施設で行われた際、高齢者が目を輝かせながら満面の笑みで話し掛けるなど非常に良い反応を見せたことから、森精一理事長が即断で購入(100万円)した。それから約1年。効果は確実に出ている。

 

 テレノイドへの関わりから、職員の知らなかった利用者の一面が引き出される。普段は受け身の人が積極的に関わりを持とうとしたり、「高い高いして」とお願いすると、なかなか体を動かさない人がうれしそうにテレノイドを持ち上げたり。利用者がテレノイドをかわいがる役割を持つことで心身の活性化につながっている。

 

 そうしたテレノイドに見せる表情や発言内容から職員は利用者のことをより深く理解することができ、それによりケアの幅が広がり、質も高まった。

 

 重要なのはオペレーターのコミュニケーション技術。ケアマネジャーの橋本麻紀さんは「相手が投影している人になりきること。子どもに見える方が多いので、子どもらしく甘えるような感じを意識している」と話す。

 

 継続的かつ効果的にテレノイドを使用するため、施設内で多職種によるプロジェクトチームが組織され、宮城大学や販売元の(株)テレノイドケアとも連携し、効果検証と使用方法の検討をしている。

 

 尾形志朗・副施設長は「テレノイドは人材不足を補うのではなく、対話を促し笑顔を引き出す、ケアの質を高めるロボット。テレノイドを通じて人材育成や介護本来の魅力の発信をしていきたい」と話す。法人では系列の二つの施設でも近く導入する予定だ。

 

 

 

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