盲ろう者が音声通訳つけて傍聴 神奈川県議会では初めて

2018年0703 福祉新聞編集部
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傍聴する三田会長(中央)

 視覚と聴覚の両方に障害のある盲ろう者による「神奈川盲ろう者ゆりの会」の三田幸司会長(66)ら4人が6月20日、神奈川県議会本会議を傍聴した。聴力がわずかに残り、発声もできる三田会長は音声通訳を希望。通訳者の声が議事を妨げないか議会局の確認を受けて臨んだ。音声通訳を利用した傍聴は同議会史上初めて。

 

 傍聴後、三田会長は「以前、自分の補聴器だけを頼りに傍聴したことがあるが、ほとんど聞き取れなかった。今回は100%とはいかないが、よく分かった」と話した。障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」により、議会局が前向きに対応したとみている。

 

 音声通訳は2人1組で三田会長の隣に座り、小型マイクを使用。西村くにこ議員(公明党)の1時間超の質疑を約15分ごとに交代しながら同時通訳した。

 

 西村議員は「盲ろう者支援センターの設置を見据えて支援を充実するべきだ」と述べ、黒岩祐治知事は「専用の相談窓口は必要だ。できるだけ早期に設置する。その際は盲ろう者から丁寧に意見を聞く」と答弁。それに向けて現在、県内の盲ろう者の実態調査をしているとした。

 

 2012年の厚生労働省の調査(全国盲ろう者協会が実施)によると、身体障害者手帳で視覚と聴覚に障害等級がある人は全国で約1万4000人、神奈川県内では617人だった。盲ろう者支援センターがあるのは現在、東京、兵庫、鳥取の3都県のみ。

 

 同センターでは盲ろう者向けの通訳・介助者の養成や派遣、生活上の相談対応などに取り組んでいる。

 

 手話の形に触れて読み取る触手話の陶山幸一さん(70)と川島朋亮さん(52)は傍聴後、西村議員にそれぞれ「専用の相談窓口に期待している」「盲ろう者の掘り起こしが大切だ」と述べた。筆談で傍聴したマッサージ業の岡田正弘さん(55)は「盲ろう者の就労環境を整えてほしい」と要望した。

 

 

西村議員の質疑を触手話で読み取る川島さん(右)

 

 
 「ゆりの会」は1999年5月に設立され、現在の会員は盲ろう者37人や賛同者らで計197人。会員の交流会やコミュニケーション学習会などを開く。今年度中に特定非営利活動法人を取得することを目指している。

 

 

 

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