アワビの陸上養殖に成功 障害者施設が150軒と取り引き〈東京〉

2019年0111 福祉新聞編集部
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水槽内の汚れを取る利用者

 社会福祉法人東京リハビリ協会(緑川清美理事長)の障害者施設「日の出事業所」は、海と遠く離れた西多摩郡日の出町で、水産業者でも難しいとされるアワビの陸上養殖に取り組んでいる。鳴門わかめを食べ、無菌の人工海水で育てられたアワビは、安全で柔らかいと高評価。養殖を始めて2年半で150軒と取り引きする事業に成長している。

 

 就労継続支援B型(定員75人)、生活介護(20人)からなる同事業所は、老朽化した身体障害者入所授産施設を移設して1977年に開所。クリーニングや観賞魚リースなどをしている。

 

 アワビの養殖は、輸入した熱帯魚を無菌の人工海水で飼育し、オリジナル水槽に入れてリースする観賞魚事業のノウハウを生かして始まった。

 

 「熱帯魚が高額で取り引きされるのをテレビで知り、水槽の掃除や餌やりなら障害者にもでき、工賃増になると考えて92年から始めた。今では1760台を設置し、2億円の年間売り上げがある。アワビの養殖も、漁師の高齢化などで収量が減っていることをテレビで知り、高く売れると思った」と斎藤公生理事は話す。

 

 養殖事業の担当は、観賞魚事業を成功させた住井信裕部長ら、水産大を卒業した職員と9人の利用者。国内には陸上養殖の成功例がない中、2016年6月から東北や韓国から購入したエゾアワビの稚貝を育てる手探りの挑戦が始まった。

 

 

3センチの稚貝が1年で6センチに。成長すると色が黒くなる。

 

 開始直後は、7000匹の稚貝を死なせてしまう苦い経験もしたが、配合飼料だけでなく鳴門わかめを与えるなど工夫し、3センチの稚貝を1年で6センチに成長させることに成功。PRや営業に力を入れたことで、取り引き先150軒、売り上げは2200万円を超えるまでになった。

 

 「身の柔らかさと甘さ、安全性には自信がある。どれだけ短期間で大きく育てられるかが今後の課題」と話す住井部長。活アワビをいつでも供給できると胸を張る。

 

 地域振興を考える自治体や商工会から、国産稚貝を1年以上育て「武蔵野産アワビ」としてブランド化してほしいという声も寄せられているという。

 

 

 

 

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