干し芋で年3000万円かせぐ社福法人 農業で地域貢献〈茨城〉

2019年0109 福祉新聞編集部
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昔ながらの天日干しで作る干し芋

 茨城県東海村の社会福祉法人愛信会(村上忠夫理事長)は、アグリビジネス(農業生産活動)を障害者の自立支援や地域貢献活動に生かしている。天日干しで作った干し芋や、完全委託栽培のトマトを一部上場の商社・食品会社と取り引き。月2回の朝市は、毎回600人以上が訪れるほど地域に定着している。

 

 愛信会は1970年に知的障害者の作業所を開所して以来、農作業を柱に活動を展開。85年の法人化以降は、月額工賃5万円を目標に、生産だけでなく加工と販売にも力を入れてきた。

 

 現在は2000アールの田畑・ハウスで米、そば、大豆、野菜、シイタケなどを栽培。豆腐、餅、赤飯、漬物などに加工し農産物直売所やバザーなどで販売している。

 

 アグリビジネスの2本柱が、秋冬の干し芋作りと、春夏の加工用トマトの栽培だ。

 

 干し芋作りは96年、「生のさつまいもに付加価値を付けたい」と考えた村上理事長が、親戚の農家から干し芋用の釜を1台譲り受けスタート。

 

 500アールの畑で栽培した2種の芋112トンから33トンの干し芋(紅はるかの平干し=1キロ2100円、いずみ=同2000円)を作り、年間3000万円を売り上げる。

 

 収穫した芋を蒸して皮をむき切断し、機械で水分を抜いた後、天日干しして完成。就労支援A型とB型の利用者20人が、個々の得意分野の作業を担っている。

 

 「茨城県は全国の干し芋の生産量の9割を占めるが、農家の高齢化や機械化で、昔ながらの製法で作る干し芋は減った」と話す村上理事長。味の良さが評価され、3月には売り切れる。2018年からは食品商社の国分グループとの取り引きも始まった。

 

 一方、トマトはカゴメ(株)と栽培契約を結んでおり、収穫したすべてがトマトジュースに使われている。

 

 一部上場の商社や食品会社と取り引きすることで、利用者の月額工賃はA型約8万900円、B型約3万300円になった。今後は、大型冷蔵庫を整備するなど1年を通した販売体制を築き、さらなる工賃増を目指す。

 

毎回600人超が訪れる朝市

 

 アグリビジネスは、地域貢献活動にも役立っている。特に、毎月第1・3土曜日の朝7時半から開かれる朝市には、毎回600人以上が来場する。04年に野菜販売会として始まったが、今ではそれにとどまらない。

 

 一つは、買い物が困難な高齢者の生活を支える役割だ。朝市で販売している弁当、惣菜、餅、野菜などを事前にファクスで注文してもらい、1000円以上購入した場合、自宅まで無料配達。約15人が利用している。

 

 リサイクル拠点の役割も担う。朝市にアルミ缶を持ってきた人には、野菜を粗品として提供。缶は利用者がつぶして、業者に引き取ってもらっている。

 

 また、作業場を活用して昨年から始めた親子団らんの場「さちのみ茶房」では、朝市に来た親子がモーニングサービスを食べながら談笑する姿が見られるようになった。

 

 「朝市の売り上げは毎回約150万円で、収益は約10万円。無料配達の経費などを引けばもうけはないが、地域のために続けたい」と村上理事長は話す。
 農福連携の先にあるアグリビジネス。愛信会の取り組みは、障害者の工賃増だけでなく、地域貢献にもつながっている。

 

 

 

 

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