「絶望名言」トークショー開催 ラジオの名物コーナー書籍化で
2019年01月18日 福祉新聞編集部
「病気、事故、災害、失恋、挫折、孤独。受け入れがたい現実に直面したときに、人は絶望します」
NHK「ラジオ深夜便」の「絶望名言」コーナーから川野一宇アナウンサーの声が流れてくる。古今東西の文豪たちが絶望の中で書き留めた言葉の数々を「絶望名言」として紹介する。
名言の選択者は、20歳で難病となり13年間、療養生活を送った頭木弘樹さん。
根田知世己ディレクターは「絶望したときに『生きていこう』と思うのは、とてもむずかしい。ため息しか出ない。息をつなぐだけでも苦しい。死が救いに思われるほど、つらい現実もある。頭木さんの『倒れたままの人向けのモノがあってもいい』という言葉に共感し、名作から絶望に効く言葉をすくい上げて『絶望名言を味わう』番組を企画したのです」とと説明する。
この番組がリスナーの声に後押しされて書籍化。12月19日、都内で「刊行記念トークショー」(八重洲ブックセンター主催)が開かれ3人が登場した。
頭木さんは「絶望や痛みから眠れないときが多く、よくラジオを聴いていました。一対一で語りかけてくる感じで心地よかった。病院では私と同様にイヤホンをつけてこっそり聴いている患者さんも多かった。面白いことに、私が今はその番組で話をする側です」と話す。
「最初は驚きました。『希望と名言』ではなく、『絶望と名言』ですからね。よく企画が通ったものです」と川野さん。
根田さんは「ただの癒やしの番組はもういい、これだ! と思いました」と、当初の熱い思いを語る。
「一番上手にできることは倒れたままでいること」(カフカ)
「明けない夜はない」(シェークスピア)
名作を紹介し、「どん底に落ちたばかりのときに『明けない夜はない』と言われても困ります。もう少し涙を流させてほしい『明けない夜』もあるんです」と頭木さん。
番組内容を再現しつつ〝絶望〟をめぐるトークショーは暗いタイトルとは裏腹に、会場は熱気と笑いに包まれていた。
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