高齢の親と同居の無職の子ども ひきこもり家族会が包括センター通じ8050問題を初調査

2019年0402 福祉新聞編集部
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居場所の重要性を訴える市川さん(左端)

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会(伊藤正俊代表)はこのほど、地域包括支援センターが家庭内に引きこもる子どもにも関わった事例の調査結果を公表した。65歳以上の高齢者と同居する無職の子どものいる世帯220例を分析し、社会から孤立した実態を明らかにした。

 

 同連合会は「包括センターを通じた引きこもりの実態調査は初めて」とし、孤立解消のために居場所づくりの必要性を訴えている。

 

 80代の親と無職の子ども(主に50代)が生活に行き詰まる「8050(はちまるごーまる)問題」がかねて社会問題とされているが、同連合会は厚生労働省の2018年度の補助事業として実態を調査した。

 

 調査対象の一つは、高齢者介護の相談窓口である地域包括支援センター。全国約5100カ所の6分の1にあたる844カ所に調査票を送り、263カ所から有効回答を得た。

 

 それによると、220カ所の包括センターが「18年度中に無職の子どもと同居する高齢者を支援した例がある」と回答。その220事例を分析したところ、高齢者の4割が「親戚など誰ともほとんど行き来がない」という孤立状態だった。

 

 この場合の「子ども」は50代が半数で、未婚の男性がほとんど。約7割は引きこもりの定義に当たり、約3割は親を介護している。約4割は親を虐待(疑いを含む)していることも分かった。

 

 同連合会は関東地方の保健所41カ所から回答を得た引きこもり相談支援の調査結果とともに、3月21日に都内で開いたシンポジウムで報告した。

 

 シンポジウムでは、保健師など専門職による関わりが、引きこもり当事者に拒まれがちな現状をどう打開するかが論点となった。

 

 都内の家族会「楽の会リーラ」(豊島区)で事務局長を務める市川乙允さん(72)は、自身の経験や家族会活動の成果を紹介し、「引きこもり当事者が自分らしくいられる居場所があることが重要だ」と強調した。

 

 引きこもりとは仕事や学校に行かず、家族以外と交流しない状態が6カ月以上続くことを指す。内閣府は15~39歳で計54万人と推計。現在、40~64歳を対象とした実態調査をしている。

 

 厚生労働省は09年度から「ひきこもり地域支援センター」の設置を始め、18年4月には全都道府県・政令市が設置済み。18年度からは市町村事業として引きこもりの人の居場所づくりを始めた。

 

 

 

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