保育業界でも働き方改革 業務シェアで負担解消(旭ヶ丘学園・大阪)

2019年0628 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 サービス残業の根絶や残業時間の抑制、積極的な有給休暇取得など、保育業界でも働き方改革の意識が浸透しつつある。だが、それを阻むのが保育教諭の業務負担増だ。人手不足もさることながら、単純に業務量も増加傾向にある。対処が不十分だと、人材確保にも影響が出る可能性もある。

 

 

 「昔より子どもの成長の速度が『それぞれ』になっているように感じます」と話すのは、大阪府吹田市にある旭ヶ丘学園の武内慎吾園長。

 

 「例えば、3・4歳児で『表情理解』が難しい子どもが増えています。そのくらいの年齢になれば、怒っている表情や困っている表情で相手の感情が分かるようになってくるものですが、それが分からない子どもが多い」。

 

 こうした現象は全国的に起こっているという。一概に原因を特定することはできないが、親が自宅で育児をする際の会話によるコミュニケーション不足を指摘する声もある。幼いうちからスマートフォンやタブレット端末を子どもに与えることで、会話が減るのが要因だとも。

 

 それが保育にどのような影響を与えるのか。「集団の中での保育になりますから、コミュニケーション能力の幼い子どもに対してはマンツーマンで対応するなど、個別の配慮が必要になります」。

 

 対象の子どもに付きっきりになる時間が増えるのに加え、その子のことを考える保育教諭の心的負担も少なくない。こういったことなどが増えてくると、結果として、保育教諭の負担増につながっていく。

 

 

 そもそも、日本の認可保育所の保育標準時間は最長で11時間。諸外国と比べて長い。旭ヶ丘学園でも、午前7時から午後7時(午後6時以降は延長保育)まで開いている。職員のローテーションで超過勤務を防ぐようにしている。

 

 旭ヶ丘学園が保育教諭への負担軽減を目的に取り組んでいるのが「業務シェア」だ。通常、クラスごとに発生する業務はそのクラスの担任や副担任が担当するが、空いた時間を利用して横断的に手伝うようにしている。

 

 「5歳児のクラスがこいのぼりを画用紙で作るとします。ひもを付けたり、そのための穴を開けたり、細かいですが作業はたくさんあります。このときに、他のクラスの先生に作業を手伝ってもらいます」。

 

 業務シェアを本格的に意識し始めたのは、働き方改革が世間で叫ばれるようになった3年ほど前から。「それ以前も取り組んではいましたが、就業時間を守りたい、残業時間を減らしたいという思いから、口に出して意識の共有を図るようにしました」。

 

 取り組みを始めてから一定の効果が出ており、残業時間の削減や、有給休暇の取得率向上に一役買っている。

 

学生は現場の働き方を重視(大阪での保育関係就職フェア)

 

 

 意識するのは働いてくれている保育教諭だけにとどまらない。「就職説明会で、必ずと言っていいほど有給の取得状況や残業時間、仕事の持ち帰りの有無、拘束時間を聞かれます。園としての姿勢が問われます」。ただでさえ人材確保が難しい昨今、子どもへの愛情や仕事のやりがいだけでは人は集まらないようだ。

 

 保育ニーズは収まりを見せるどころか高まり続けている。保育所が子どもの保育に最善を尽くすのは当然だが、働く保育教諭も大切な仲間。武内園長は「今後も就業環境の改善にも力を入れていきます」と話す。

 

 

 

 

    • このエントリーをはてなブックマークに追加