5年で売り上げ5倍 社福法人で唯一、機密文書裁断・リサイクル(栃木)

2019年0704 福祉新聞編集部
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専用車内の大型シュレッダーで文書を裁断する

 栃木県足利市の社会福祉法人足利むつみ会(阿由葉寛理事長)の障害者支援施設「社会就労センターきたざと」は、全国の社会福祉法人で唯一、機密文書の裁断・リサイクル事業を行っている。

 

 1985年に開所した同施設は、生活介護30人、就労継続支援B型20人、A型10人からなる多機能施設。開所時から企業の下請け作業を中心にしてきたが、バブル崩壊で作業が激減。パンやクッキー製造などの自主生産型への移行を進める中で、2007年にアメリカ視察に出向いた阿由葉理事長が、障害者が軍から機密文書の裁断を請け負っている光景に出合った。

 

 日本でも同様のことができると考えた阿由葉理事長は、県の補助金を活用して、1時間に500キロを処理できる大型シュレッダーを搭載し、裁断した紙片をそのままゴミ収集できる専用車を購入。全日本機密文書裁断協会に加入して、09年から事業を始めた。

 

 裁断作業は、専用車に職員1人とB型利用者1~2人が乗って県庁や市町村役場、警察署、学校、企業などに出向き、担当者立ち会いで作業する。ホチキスの針などは一緒に裁断できるので問題ないが、大型クリップやバインダーを分別する作業が大変だという。

 

 現在約200社と取り引きがあり、12月から3月までの繁忙期には、3台の専用車と1台のゴミ収集車がフル稼働する。裁断した紙片は、リサイクル事業者に古紙として買い取りしてもらうため、裁断作業代と古紙代の両方が収益になる。

 

 13年度に319万円だった売り上げは、同年に優先調達推進法が施行されたことも追い風となり、18年度には5倍増の1534万円に増えた。それに伴い利用者の工賃も大幅アップし、B型平均月額工賃は4万7865円にまでなった。

 

 「新規取り引き先の開拓や、裁断時期を年度末以外にずらしてもらうなど、営業活動に力を入れている。利用者が少しでも効率良く高い工賃を得られるようにするのが我々職員の仕事」と話す阿由葉理事長。居眠り事故に巻き込まれて廃車を余儀なくされたゴミ収集車の再整備を含め、さらなる工賃増に向けて取り組みを進める考えだ。

 

 

 

 

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