「施策推進」か「人権尊重」か 認知症新法の内容を議論

2019年0917 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
右から宮島氏、田村議員、古屋議員

 6月に与党が衆議院に提出した「認知症基本法案」に関するセミナー(福祉フォーラム・ジャパン主催)が9月2日、都内で開かれた。田村憲久(自民党)、古屋範子(公明党)の両議員、宮島俊彦・元厚生労働省老健局長が登壇し、「施策を推進する法律」とするか、「人権を尊重する法律」とするかで議論が白熱した。

 

 与党の法案では、認知症の人の尊厳を保持するといった文言はあるが、目的は認知症施策を推進することであり、基本理念は認知症施策のための規定になっている。

 

 一方、認知症の人らは、目的、基本理念は認知症の人を主語とし、人権を明記するよう求めている。例えば、障害者基本法は障害者の自立と社会参加を目的とし、基本理念に尊厳が重じられ、権利があることを定めている。

 

 宮島氏は法制定の論点について「予防や治療の観点で作らないこと。認知症本人の主体性を尊重し、広く意見を聞くこと」を挙げた。

 

 また「病気」に対する施策を定めるがん対策基本法と、「人」に着目して個人を尊重する障害者基本法を比較した上で、「人に重点を置いた法律とした方がよいのではないか。認知症の人基本法とすれば人権を尊重し、基本理念も共生社会の実現や差別禁止が中心になる」と提起した。

 

 それに対し、田村議員は「認知症の人が安心して暮らせるようにするには、まだやるべきことが多い。人権を守るより、まずはいろんなことを整備していかないと、認知症の人が増えた時に大変になるという考え方がもとにある。尊厳の保持などに配慮しているが、思いが至らなかった部分もあるかもしれない」と述べた。

 

 古屋議員は「認知症の人を中心とすることは法案の底辺にある考え方だが、それをより直接的に表現する方法があってもいいかもしれない。秋の国会で野党と議論する時にもう一度考え直すチャンスはある」と話した。

 

 会場からは「基本的人権からスタートしなければ、いくら良策であっても認知症の本人には届かない」「困った人を支援してあげる、という発想の取り組みは危険。尊厳の保障を中心にしてほしい」「差別をなくすには若い時からの適切な教育が大切」といった意見が出た。

 

 

 

 

    • このエントリーをはてなブックマークに追加