門戸竜二さんと児童養護施設の子 卒園生を支えるチャリティーコンサート

2019年0924 福祉新聞編集部
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フィナーレでは「サライ」を歌った

 9月1日夕、大阪府岸和田市の市立浪切ホール。大衆演劇界のプリンス、門戸竜二さんと児童養護施設の子どもたちによるチャリティーイベント「にじいろ夢コンサート」が開かれた。卒園生を支える「にじいろ〝夢〟基金」のためのコンサートで、この日の収益も寄付された。 

 

 主催は、社会福祉法人阪南福祉事業会(岸和田市)。児童養護施設「岸和田学園」や「あおぞら」などを運営している。両施設では、さまざまな事情で保護者と離れて生活する子どもたち約130人が暮らしている。門戸さん自身が「岸和田学園」の出身。小学5年から高校入学直前まで在籍した。

 

 8年間の会社勤めをした後、「役者になって全国を旅すれば、小さいころ別れた母に会えるかも」との思いから役者に。大衆劇団の座長を11年間務めたあと2011年4月、独立。今や、大御所・梅沢富美男の舞台に出演するなど、人気者になった。今月、台湾公演も果たした。

 

 夢コンサートのプロデュースは10回目。「輝ける場をつくり、子どもたちに自己肯定感を持たせたい」という、現場の先生の思いに共感したからだ。

 

 舞台は華やかで多彩。花魁姿の門戸さんの入場から始まって、子どもたちのダンスやバトン、和太鼓、落語、手話歌もあり、岸和田らしく「だんじり祭り」も。フィナーレでは「サライ」が歌われ、光の中で桜吹雪が舞った。

 

花魁姿を披露した門戸さん(中央)

 

拍手もらって自己肯定感を

 

 出演者は総勢138人。舞台袖では、うまくいくたびに出演者が指を鳴らす。バトンを落としても舞い続ける。

 

 「子どもたちは、猛練習を重ねました。拍手をいただける、まずは認めてもらえるように…」と門戸さん。理事長の永野孝男さんも「拍手をいただくと、子どもたちの自己肯定感が高まる。明日の希望につながっていく」とあいさつした。

 

 施設退所後、一人ぼっちになって押しつぶされる子もいる。原因の一つが経済的困窮だ。政府が今年3月、退所後の住まいの確保や進学、就職支援の強化策を閣議決定したのもその文脈からだ。

 

 卒園生からの手紙が、披露された。「奨学金の返済で困っていたときに、〝夢〟基金に助けてもらい、夢がかなって看護師になれました」。

 

 永野理事長は「社会的養護とは、社会のすべての人々が子どもたちと関わり、支援していくこと」と説明したうえで、「社会的養護の実践は、孤立、虐待、権利侵害が際立つ『今』を生きる、私たち大人の責任ではないでしょうか。夢基金の運用も、その一つです」と話す。

 

心のだんじり

 

 巣立ちには、数々のリスクが潜む。門戸さんは、「すごく守られて育つと、逆に世間の荒波とのギャップが心配になる」と話した。

 

 その点で、大舞台の経験は貴重だ。卒園者の手紙には、「バトンの舞台が私のすべての始まりでした。失敗もしたけど、諦めない。今の仕事にも生きている」とつづられていた。

 

 折れない心は、「レジリエンス」(逆境力、回復力)に通じる。「心のだんじり」という言葉も浮かんできた。優しさだけでなく、強さも必要…「生きる力」のありようを、改めて考えさせられた2時間50分のステージだった。

 

 (平田篤州)

 

 

 

 

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