ヤドカリ式で施設建て替え 東京都の新規事業が本格的スタート

2019年0925 福祉新聞編集部
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慣れない車移動も楽しんだ様子の利用者

 社会福祉法人が老朽化した施設を建て替える際、工事用地の確保が困難な法人に、代替施設を使ってもらう東京都の新規事業が9月11日、本格的にスタートした。社会福祉法人村山苑の特別養護老人ホーム・ハトホームの一部利用者と職員がこの日、一斉にお引っ越し。仮住まいでの新しい生活が始まった。

 

 移動したのは、利用者86人と50人近い職員。車いすごと載せられる介護タクシー10台が何度も施設間を往復することになった。

 

 ハトホーム(東村山市)から仮住まい施設(清瀬市)までの距離は車で30分ほど。途中渋滞に巻き込まれるなど、利用者にとっては慣れない車移動に疲れを見せるかと思いきや「楽しかったです」と余裕の表情のお年寄りもいた。

 

 新しい施設に到着すると「廊下が長いですね」など、ハトホームとの違いに興味津々。その後、昼過ぎまで移動に時間を費やし、午後から新施設での通常業務がスタートした。

 

 この事業は、老朽化した社会福祉施設を建て替える際、敷地が狭くて今ある土地で建て替えできなかったり、仮移転するための用地確保が困難だったりする法人に、建て替え期間中の代替施設として都が貸し付けるというもの。期間は最大3年間で、建て替えが終わると都に返還され、その後、別の法人が借りるという「ヤドカリ」のようなシステムだ。

 

 都は、代替施設として特養と障害者支援施設を整備。村山苑と、障害者支援施設・青梅学園を運営する社会福祉法人南風会が、第1期事業の法人として選定されていた。村山苑が利用する期間は2021年5月31日までで、期間中に建て替える。

 

 生活の変化を最小限に抑えようと、引っ越しをする以前から、新施設に移る利用者同士を同じ多床室にしたり、担当の職員を引っ越し後と同じになるよう変更したりと、工夫を凝らしてきた。

 

 建て替えにかかる費用の削減が見込める一方、法人への負担や事業の課題も浮き彫りになった。

 

 正規職員の中には、職場の変更に伴って住居の引っ越しや、通勤用の自家用車を購入したケースもあったという。パートの職員向けには、元の職場(ハトホーム)から送迎の車を手配するなどして離職防止を図ることになった。

 

 建て替えを要するような古い施設は多床室が多い。全室ユニット型の新施設では、職員は勝手の違いに最初は戸惑うだろう。

 

 岡野雅和施設長は「不安もあるが、新しいことにチャレンジする精神で、心機一転頑張っていきたい」と話した。

 

 

 

 

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