施設の存亡に危機感 全国児童養護施設協議会、本園の機能の重要性を強調

2019年1212 福祉新聞編集部
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桑原会長

 全国児童養護施設協議会(桑原教修会長)は、11月27日から3日間、徳島県内で開かれた第73回全国児童養護施設長研究協議会で、今後の施設の在り方をまとめた第1次報告書を発表した。施設の機能を、改めて三つに整理した上で、施設の本園が持つマネジメントや人材育成などの機能の重要性を強調。国が求める施設の地域分散化などに向けては、施設の体制強化が重要だとけん制している。 

 

 社会的養育をめぐって厚生労働省は、就学前の子どもの里親委託率を75%以上とする方針を掲げている。施設に対しては、ケアニーズが高い子どもを受け入れる「高機能化」や里親支援などの「多機能化」を求めている。同時に施設の地域分散化も進める方針だ。

 

 こうした動きに対し、全養協は「子どもの受け皿の選択肢がなくなる」と主張。現場から社会的養育の方向性について発信しようと2019年3月に特別委員会を立ち上げ、8回にわたり議論してきた。委員長には増沢高・子どもの虹情報研修センター研修部長が就いた。

 

 報告書は、施設が持つ機能について(1)子どものニーズにのっとった「個別的養育機能」(2)在宅支援なども含める「地域支援機能」(3)前線で働く養育者を支える「支援拠点機能」――の三つに整理した。

 

 このうち、支援拠点機能はアセスメントを行うマネジメントや、職員の人材育成、他機関との連携などを指しており、施設の本園が担う。分園には個別的養育機能だけを位置付けているのが特徴だ。

 

 

 その上で報告書は、「多機能化や高機能化は、個別的養育のみで果たせるものではなく、支援拠点機能があって初めて可能となる」と指摘した。今後、施設の地域分散化が進んだとしても、多様な子どもと家族を支援するには、本園と分園が一体となって支援することが重要だと強調している。

 

 シンポジウムで、増沢委員長は報告書について「施設の多機能化や高機能化には、前線の養育者を支援することが要となる」と説明。「施設の機能を整理し、本園の持つ役割が重要だと外に知ってもらうことが必要だ」と訴えた。

 

 全養協がこうした報告書をまとめた背景には、将来的な施設解体への疑念があるという。

 

 基調報告で桑原会長は、報告書により本園の重要性が再確認できたとし、「一時、施設が地域分散化すれば施設本園はなくなると言われていた」と厚労省をけん制。また報告書には盛り込まれていないが、具体的に職員配置基準を1対1にすべきだと主張した。

 

 今後も全養協は特別委員会を継続し、議論を継続する。より具体的な提言などを盛り込む予定だという。

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