再犯防止へ加速化プラン決定 福祉との連携を強化〈政府〉

2020年0117 福祉新聞編集部
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受刑者の健康調査の結果を報告する五十嵐さん(正面中央)

 政府の犯罪対策閣僚会議は12月23日、再犯防止推進法に基づく「再犯防止推進計画」(2018~22年度)の実効性を高めるための「加速化プラン」を決定した。仮釈放者に比べて再入所率が高い満期釈放者を支援するため、特に福祉との連携を強化する。

 

 具体的には、満期釈放者の再犯につながる要因として、住む場所がないことに着目。今後、確保に努めるべき住まい先として更生保護施設、福祉施設などを挙げた。

 

 地方自治体に対しては、犯罪をした人のうち、保健医療・福祉サービスを必要としながらもアクセスが困難な人にサービス提供することを求めた。

 

 満期釈放者のうち、釈放の翌年までに再入所した人の直近5年の平均は年2726人。これを22年までに2000人以下とする目標も掲げた。

 

 保健医療・福祉サービスの利用促進は、再犯防止推進計画の重点課題の一つ。同計画に位置付けた115の具体的施策のうち、24が保健医療・福祉サービス利用の促進だ。

 

 そのうち、「被疑者・被告人段階での更生支援を含む、司法機関と福祉機関の連携のあり方」は、法務省、厚生労働省が現在検討中。今年3月中旬にも具体像を明らかにする予定だ。

 

 都道府県・市町村は地方版の再犯防止推進計画を作ることが努力義務となっているが、策定の担当部署は「全体の7割ほどが福祉部局」(法務省企画再犯防止推進室)という。

 

 昨年10月1日現在で地方計画を策定済みの自治体は17都府県、5市区の計22団体。一部の市では地域福祉計画に再犯防止計画を内包している。

 

 加速化プランは、21年度末までに100以上の自治体が地方版再犯防止推進計画を作ることを目標とした。

 

 ◇

 

 同計画を策定済みの政令市はないが、横浜市は昨年9月に素案を発表。20年3月に確定する予定だ。計画作りの検討会には、司法や福祉の関係者だけでなく、元受刑者が委員に入った。

 

 NPO法人マザーハウス(東京)理事長の五十嵐弘志さんがその人だ。検討会では刑務所にいる受刑者の生の声を反映した、具体性のあることをすべきだと一貫して主張した。

 

 通算20年の服役を経て2011年12月に出所し、14年5月にマザーハウスを立ち上げた五十嵐さん。服役中の受刑者約700人と文通し、出所後の生活保護申請や住まい探しなどを支えている。

 

 17年10月~18年9月には、受刑者725人に健康状態を尋ねるアンケートを実施。文通の実績をもとに直接郵送し、275人から有効回答を得た。「民間団体による受刑者の健康調査は前例がない」(石塚伸一・龍谷大教授)という。

 

 昨年12月15日にはその調査報告会を都内で開き、回答者の自覚症状として腰痛(59%)、歯痛(37%)が多いことを紹介。刑務所内での口腔ケア教育が重要だとした。

 

 五十嵐さんは「自分を大切に思えるようになれば再犯はしない。自分の体を気遣ってくれる人が社会にもいることを受刑者に伝えたい」としている。

 

 

 

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