障害者の文化芸術活動推進宣言 アメニティフォーラム24(滋賀)

2020年0225 福祉新聞編集部
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会場には全国から1300人以上が参加した

 全国から各界の福祉関係者らが集う「アメニティーフォーラム24」が2月7日から3日間、滋賀県大津市のホテルで開かれた。8日、衛藤晟一・内閣府特命担当大臣らが、東京オリンピック、パラリンピックに向けて「障害者の文化芸術活動の推進」を宣言。衛藤大臣は別のセッションで、障害者差別解消法の改正などに関しても意見を述べた。

 

 主催は、アメニティーフォーラム実行委員会とNPO法人全国地域生活支援ネットワーク。社会福祉法人「グロー(GLOW)~生きることが光になる~」が共催した。

 

 「地域共生社会」がキーワードで、全国から1300人以上が参加した。発表者は前年の1・5倍の約150人にのぼり、テーマの広がりを印象付けた。

 

 8日、衛藤大臣は「アール・ブリュット、クリエーション、日本」のステージで、超党派の「2020年東京オリンピックパラリンピックに向けた障害者の芸術文化振興議員連盟」の会長として登壇。「障害者の芸術文化活動を何とかしようという話は7年前、この会場での話し合いからスタートした。今日は、東京オリパラに向けてグレードアップするための最後のスタートになる日だ」と述べた。

 

 このあと、同連盟の議員や知事連盟の平井伸治鳥取県知事らとともに、「障害者の文化芸術活動推進宣言」を行い、参加者全員で気勢を上げた。

 

 衛藤大臣は、「張り切って参りましょう! 作る法律、見直す法律」のセッションにも出席。障害者差別解消法の改正や、高次脳機能障害支援、福祉人材確保に関しても意見を述べた。

 

衛藤大臣

 

 差別解消法は13年、フォーラムの議論から4カ月で成立し、「施行3年後の改正」という付則に基づき、昨年から改正の議論が進んでいる。

 

 認定NPO法人「DPI日本会議」の尾上浩二副議長は「障害者家族への差別の解消、障害女性の複合差別の解消、紛争解決へのワンストップ相談窓口設置などを求めたが、1月の政府委員会のまとめ案には盛り込まれていない」と指摘。衛藤大臣は「差別の実態が何であるのか、どうすればいいのかが具体的でないと法文化は難しい。立法事実をどう積み上げるのかが一番のポイントだ」と応じた。

 

 また、衛藤大臣は高次脳機能障害支援に関し「医療体制がまだ整っていない。本気で取り組んでくれる医師を一定数確保できれば、その後はリハビリや社会的支援をつけ、体制をつくり上げていける」と道筋を示した。

 

 福祉人材確保について、全国手をつなぐ育成会連合会の久保厚子会長が「福祉現場に就職する大学生の奨学金返還をゼロに」と提案したが、衛藤大臣は、「医療人材との兼ね合いもあり、整理が必要」と述べるにとどめた。

3法人が地域生活支援の現実を語る

 注目を最も集めたのが、8日の「地域生活支援をまじめに取り組んできたら…経営が苦しく?なりました」というプログラムだった。約1300人のフォーラム参加者のうち、700人以上が集まった。

 

 セッションでは三つの社会福祉法人の代表が、グループホームなどの地域生活支援が経営に及ぼす影響について、収支報告書などを示しながら報告した。

 

セッションでは3法人の代表が登壇し報告した

 

 長野県の高水福祉会(飯山市)は、365日24時間体制で県北信圏域の相談・緊急時の駆け付けを行う総合安心センター「はるかぜ」を運営している。

 

 野口直樹常務理事は「自治体から補助金が出ているが、2018年度の収支は700万円の赤字。補助金収入に頼っていては今後継続に不安がある」と話した。

 

 埼玉県でグループホーム20カ所を運営する清心会(秩父市)の岡部浩之常務理事は、「中古物件を安く購入でき、その家賃収入を新しい設備に回しているが、社会福祉充実残高はマイナス。夜勤を含め多様な勤務体制になるため職員が定着しないのが課題」と人材不足の深刻さを訴えた。

 

 

 大阪府の北摂杉の子会(高槻市)は、強度行動障害や重度知的障害がある利用者に特化したグループホームを運営する。

 

 松上利男理事長は、「利用者それぞれの障害特性に合わせて居室環境をオーダーメードして費用がかかった。15年に重度障害者支援加算が創設されて、初めて黒字になったが、夜間支援への加算が昼間より少ないので見直してほしい」と、課題を示した。

 

 3法人は、いずれも多角的な事業展開をしている法人で、スケールメリットにより地域支援が継続できている例だ。だが、法人規模の大小にかかわらず持続的な経営ができなければ、障害者の地域移行は進まない。

 

 今後は地域生活支援の拠点を点から面に広げるため、国に報酬加算の見直しを求めるほか、法人をまたいだ連携を強化することが参加者の間で確認され、大きな拍手とともにセッションは終了した。

 

 

 

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