児童養護施設の将来は医療施設? 厚労省が高機能化で新加算

2020年0316 福祉新聞編集部
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 厚生労働省は3月6日、乳児院や児童養護施設でケアニーズが高い子どもを受け入れる際の新類型を明らかにした。本体施設で医療的ケア児などを4人の生活単位で養育する際の加算を新設。いずれも医学的な根拠を必要とする。厚労省はこれまで乳児院や児童養護施設について専門性の高い養育を行う高機能化を進める方針を示しており、今回具体的に示した。

現場から驚きの声

 適用は2019年4月から。通知がこの時期になったのは関係各所と調整した結果だという。同日に都道府県などに出した要綱によると、新たに設ける「医療的ケア児等受入加算」は、心理療法担当職員や看護師など専門職による即時の処置が必要な子どもが対象。医師の判断が必要となる。最低2週間に1回、医師の診察を受けることなども条件。

 

 具体的には、気管切開により常に状態把握が必要なケースや、週2回以上けいれん発作があるなどの医療的ケア児を挙げた。また、自殺企図や衝動的に暴力を振るうなど行動障害のある子どもも例示している。

 

 加算要件については(1)対象の子どもを養育する定員4人の生活単位を設ける(2)施設内に看護師や心理療法担当職員を配置する(3)即時の処置が可能な体制をとる――ことなど。

 

 設備については、乳児院の寝室の床面積が1人当たりの2・47平方メートル以上、児童養護施設が同様に4・95平方メートル以上とした。厚労省によると、主にユニットを想定しているという。4人の生活単位は最大4カ所。

 

 加算を取得した場合の子どもと職員の配置はおおむね、乳児院が4対5、同様に児童養護施設が4対4。いずれも従来の小規模グループケア加算に1人分追加した水準だ。

 

医療的ケア児受け入れ加算の概要

 

 昨年10月から適用される加算分の保護単価は、その他地域で定員30人の場合、月3万9020円。年間で約1400万円になる。

 

 このほか要綱は、施設が毎月1回ケース会議を開いて、子どもの支援方法について児童相談所と協議するよう要請。早期に家庭や里親、地域のグループホームなどに移行するよう求めている。

本体施設の将来像

 乳児院や児童養護施設をめぐって厚労省はこれまで、地域で分散化されたグループホームへ転換する方針を示していた。しかし、ケアニーズが高い子どもは例外としており、要綱は今後、本体施設でどういう子どもを受け入れるのかを示す将来像とも言えそうだ。 

 

 要綱には加算の実施状況により見直しを行う規定も盛り込まれている。しかし、こうした医療的なケアを前面に打ち出した内容に現場からは驚きの声も上がっている。

 

 桑原教修・全国児童養護施設協議会長は「加算のハードルは高い。実際該当する施設がどれだけあるのかは分からない」と指摘。ただ、児童心理治療施設がない地域だと活用される可能性があるとの見通しを示した。

 

 ほかにも児童養護施設から「医療施設への転換が必要だと受け止めた」「自殺企図がある子どもを4人集めると、現実的には症状が悪化するのでは」との意見もあった。

 

 厚労省は都道府県などに対し、加算を取得する施設数や対象の子ども数について報告を求める。子ども家庭局家庭福祉課は「乳児院や児童養護施設は医療施設ではなく、暮らしの場であることに変わりはない。子どもの生活を支えるための加算だ」と話している。

 

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