障害福祉事業所が企業と連携 地域課題の解決と高賃金を実現(山形)

2020年0319 福祉新聞編集部
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回収したトレーを流す利用者

 山形県新庄市の社会福祉法人友愛の里の多機能型障害福祉サービス事業所「友愛園」(高橋聖一園長)は、企業と提携した生産活動により県内一高い工賃を実現。地域課題解決にも貢献している。

 

 1982年に開所した友愛園は、就労継続支援B型38人、生活介護と就労移行支援各6人の施設。木工と食品トレーリサイクルで、企業と提携した生産活動をしている。

 

 木工は、東京に本社のある葬祭用品大手の協和木工所と提携し、関東地方などの葬儀で使われる灯籠・門牌もんぱいを作っている。木工職人が減る中で、葬祭行事を下支えしている。

 

 灯籠・門牌作りは、開所時から製作していた桐箱作りの技術を生かして20年前に始まった。地元木材会社から協和木工所を紹介されたのがきっかけで、骨箱作りから始まり、徐々に難度が高い注文が増えていった。

 

 一時は人件費が安い中国に仕事が流れたが、中国の人件費高騰、質の低さなどから注文が戻ってきた。今では6~7種類の灯籠を年間3500~4000個作るまでに回復し、収入も1000万円を超えるまでになった。

 

 一方、食品トレーリサイクルは、市とヨコタ東北、福祉施設が共同した焼却ゴミ減量化事業として2004年に始まった。スーパーなどから出た食品トレーを市内の別施設が回収・洗浄後、友愛園でペレット(粒状のプラスチック製品の原料)に加工する。ペレットは、ヨコタ東北に引き取られ、トレーに再加工される。

 

 利用者は、回収されたトレーを専用機械のベルトコンベアーに流す作業などを担当。ペレットの生産量は毎月6トンに及び、約600万円の収入がある。

 

 リサイクル、木工の共通点は、企業が原材料を用意し、友愛園は加工だけをしていること。専門的な注文に応えられる技術力・生産力があってのことだが、利用者の月額平均工賃は3万1269円と県内で最も高い。

 

 ゴミ問題や葬祭行事の下支えといった地域課題の解決に貢献しつつ、高い工賃を確保できるのは、独自の基準で生産活動を選んでいるからだ。高橋園長は「良い話があればすぐ設備投資すること、利用者にできることを基準に仕事を選ばないことだ」と話す。

 

 実際、協和木工所と提携する際は、すぐに大型機械を整備した。作り方は職員が覚え、利用者ができる部分を考え教えた。今では安全装置を使うことで、木材の切断から電動カンナ掛け、組み立てまで全ての工程を利用者が担うまでになった。

 

今では灯籠作りの全工程を利用者が担っている

 

 「企業との提携は即断即決が大切。設備整備の助成金決定まで企業は待ってくれない。仕事は職員が細分化し、利用者ができることを教えればいいだけ。それが高賃金につながる」と高橋施設長は話している。

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