無償で家族の介護を社会で支える 埼玉県で全国初のケアラー支援条例

2020年0409 福祉新聞編集部
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日本ケアラー連盟代表理事堀越栄子さんに聞く

ケアラー支援の必要性を長年訴えてきた堀越さん

 

 連盟は2010年の発足時から、ケアラー支援法や条例の制定を求めており、埼玉県条例を待ち望んでいました。

 

 「ケアラー」という表記は、多様な介護者を広く含める意味合いがあり、連盟が作成したケアラーのイラストを示すと、自分が該当することに気付く人は多いです。

 

 ケアラーは介護を優先させるため、休息をとれない、仕事を辞めざるを得ない、学業の時間をとれない、友人と交流できない、などにより、自分の人生、生活、健康が奪われています。

 

 ある調査では、介護者の3人に1人が要介護者に憎しみを感じたことがあるとし、介護殺人が月に3・6件起きているとのデータもあります。

 

 ケアラーは本音を言い出しにくく、話せる場も少ないため、問題が隠れがちになります。そのため、外部から見えず、全国的な把握が難しいのです。実態を把握できないため、問題が起きてから対処するしかないのが現状です。

 

 だからこそ、ケアラーが追い込まれる前に、ケアラーが自分の人生を送れるように、社会全体で支援することが重要であり、根拠となる法律や条例が必要なのです。

 

 支援がなければ、ケアラーが心身の健康を損ない医療費が増します。離職して労働力不足になる、子どもらしい生活を送れず健やかな成長を阻害する、社会から孤立して自分らしい人生を送れないなど、深刻な問題が生じます。

 

◆国の法制化にも期待

 埼玉県ケアラー支援条例の最大の意義は、影の存在であるケアラーに光を当て、社会が存在を認知し、「見えない存在から見える存在」にしたことです。ケアラーの定義として、誰をケアしているか、誰がケアしているかを問わない点も評価できます。また、ケアラーが陥りがちな心身の不調、社会的な孤立を、社会全体で支える仕組みとしたこともポイントです。

 

 県の推進計画策定や体制整備など、具体的な取り組みはこれからですが、地域福祉の牽引役である市町村が取り組むことや、専門職の養成課程にケアラー支援を含めることなどが課題です。全国のモデルとなるよう進め、国の法制化につながることも期待しています。

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