福祉新聞フォーラム直前特集 有事の変動予算とは(渡部公認会計士)

2021年1102 福祉新聞編集部
渡部博氏(公認会計士渡部博事務所 所長)

 今回は「近時の財務課題と対策」と題して3部構成でお話しします。この1年半あまり、新型コロナウイルスの感染拡大で、社会福祉法人の経営環境にも大きな影響が出ました。「有事」と言えるでしょう。

 

 そこで、第1部は有事の予算編成についてお話しします。収入や支出を見込む際のポイントを解説するほか、計画通りのサービス提供を前提とした「固定予算」と、計画の5~10%程度の変動に対応できる「変動予算」についてお話しします。

 

 「変動予算」は企業会計では一般的ですが、社会福祉法人ではなじみが薄いかと思われます。「有事」になったこの機会に、ぜひ理解を深めておきたいところです。

 

 第2部は有事の機関運営についてです。理事会、評議員会は柔軟に運営することが認められていますが、監事会についてはそもそも社会福祉法に定めがありません。

 

 監事会を開かずに監査や監査報告をどのように行うか、社会福祉法人での実際の例を交えてご説明します。

 

 第3部は会計業務の継続性(BCP)と効率化です。ここは一番時間を割いてお話しする予定です。

 

 感染拡大を防ぐため、自宅などでのリモートワークが推奨されますが、当然、その場合でも業務の継続性を保つことが欠かせません。そこで、クラウドソフトをうまく使いこなすための留意点を伝えします。

 

 また、コロナ禍を機に会計業務全体を見渡し、手作業をソフトに代行させること(業務のロボット化)、思い切って業務の一部を切り捨てることを考えてもよいでしょう。そうした見直しの際の視点をお伝えします。

 

【わたなべ・ひろし】 1965年生まれ。早稲田大政治経済学部卒業後、都内の会計事務所などに勤務。2003年に公認会計士渡部博事務所を設立。アメリカ・ワシントン州の公認会計士や税理士の資格を持つ。