福祉新聞フォーラム直前特集 機器導入による省力化(荻原一級建築士)

2021年1105 福祉新聞編集部
荻原正之氏(一級建築士・新環境設計社長)

 介護現場においてICT(情報通信技術)、介護ロボットなどの導入が進んでいます。従来の紙媒体での情報のやり取りを抜本的に見直すことで、職員の業務負担軽減や定着率改善につながると考えられているからです。

 

 厚生労働省の調査によると、ICT導入支援事業の実施自治体数は着実に増加しており、2年前は15県だったのが、今年度は全都道府県に広がる予定になっているという。助成を受けた事業所数も2560カ所と、大幅に増えています。

 

 一方で、こうした新機器導入に足踏みする施設があるのも確か。導入効果が不透明だったり、費用面で踏み込めなかったり、理由はさまざまでしょう。

 

 そこで今回、新機器を導入した複数の施設に聞き取り調査をしました。その上で、いくつかのテーマに沿って話します。

 

 まずは、施設新設時の機器導入について。社会福祉法人徳心会(東京都三鷹市)が、目黒区で特別養護老人ホームと障害者施設の複合施設「こぶしえん」を今年度開設しました。

 

 新しい施設に新機器を導入するに当たり、厚労省が推奨する機器を検証した結果、どのように優先順位を考え機器を採用したのか、実際に何を採用したのか、不採用とした機器についてその理由などを解説します。

 

 次に、見守りシステムについて。入所利用者の居室に設置するカメラは、利用者の様子を遠隔で確認することができ、特に夜間における職員の心的負担軽減に役立つとされています。

 

 実際にシステムを導入してしばらく経過した施設に、その費用対効果を聞きました。

 

 最後が、医療法人が使用する電子カルテについて。心肺の状態や体温など患者のバイタルを記録する電子カルテですが、当該法人では関連する特養と連携し、電子カルテに蓄積したデータを共有する取り組みが始まっています。

 

 実際にどのような取り組みなのか、医療法人が考える地域包括ケアシステムの実現と絡めて解説します。

 

【おぎはら・まさゆき】 1963年生まれ。日本大学理工学部建築学科卒業、株式会社新環境設計入社、2013年同社代表取締役就任。一級建築士、日本医療福祉建築協会会員、東京都建築事務所協会所属。

 

会社紹介

 1969年創業。福祉施設・医療施設を専門分野として半世紀にわたり、全国に1000件以上の設計建設に携わった。新たな施設の創設とともに、地域にしっかりと根付いた社会資源である福祉施設の存続・再生に関わることを、この分野のパイオニアである当社の使命と考えている。