養護出身者らが番組制作 「ぴあラジオ」で進学後押し

2022年0207 福祉新聞編集部

 児童養護施設や里親家庭などで暮らした大学生らが1月17日、社会的養護で暮らす中高生の未来を応援する「ぴあラジオ」がスタートした。動画投稿サイト「ユーチューブ」などで、大学生活や奨学金の情報など将来の選択肢が増えるような情報を発信。学生らは「同じ境遇の後輩に自分たちの経験が役に立てば」と話している。

 

 初回の番組は大阪府内の児童養護施設出身で現在、大学4年生のたかしさん(22)と、里親家庭出身の大学1年生のきよみさん(19)がパーソナリティーを務め、2人の大学生をゲストに招いた。学食で大学生が話しているような雰囲気の中、トークが展開される。

 

 施設出身のゲストは「進学で一番の不安はお金だったが、施設職員が母親のような存在で、進学の環境を整えてくれた。自分1人では難しかった」と振り返った。また、里親家庭出身のゲストは、かつて担当だった児童相談所の職員に憧れ、社会福祉士を目指していることを話した。

 

 最後に、中高生のリスナーに対して「大学生になれば好きなことができる。勉強は自分の武器になるし、自信にもなる」などと呼び掛けた。

 

 番組は、パーソナリティーのほか、構成や編集を担当する学生ら計6人で制作している。いずれも朝日新聞厚生文化事業団が実施している返済不要の「進学応援金」を受けている学生だ。

 

 きっかけは同事業団が2021年9月に主催した中高生対象のオンライン講演会だった。学生らが自らの体験を語ると反響が大きく、今後も自分たちにできることはないかと議論した結果、番組制作に行き着いたという。

 

 番組制作を統括する東京の大学4年生、いろなさん(22)は、「我々は周りの方々に支援されながら大学に進学することができた。同じ境遇の人に向けて、自分たちの経験や体験談が少しでも役に立てばうれしい」と話している。

 

 当面は月1回のペースで配信する予定で、社会人OBをゲストに招くという。このほか、応援生の体験談や応援生へのアンケートなどをまとめた冊子「ぴあブック」なども検討している。

 

 

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