障害者情報アクセス法が成立 付帯決議に手話言語法の検討も

2022年0530 福祉新聞編集部

 障害のある人の情報アクセスや意思疎通の環境を整える「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案」が5月19日、衆議院本会議で全会一致により可決、成立した。手話や字幕、点字の提供など情報分野でのバリアフリー化を図る。施行は公布日。

 

 参院厚生労働委員長提出の議員立法で、4月に参院を通過していた。衆院では「手話言語法の立法を含め、手話に関する施策の一層の充実の検討を進めること」など5項目の付帯決議が付いた。

 

 新法は障害者がテレビなどから情報を得たり、他者と意思疎通を図ったりする際の障壁を減らすことで、共生社会を実現することが狙い。国や地方自治体の施策として情報取得に役立つ機器の開発・普及・利用の促進、防災や緊急通報の体制整備などを義務付けた。

 

 また、新法の第10条は「政府は必要な法制上または財政上の措置を講じなければならない」と規定。情報取得・意思疎通をめぐる個別分野の施策を法的、財政的に支えるよう政府に念を押した。

 

 新法は視覚、聴覚の障害者団体が12年前から制定を要望。その原案を今年2月、超党派の「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」(衛藤晟一会長)がまとめていた。

 

 新法の成立を受け、全日本ろうあ連盟(石野富志三郎理事長)など4団体は20日、「今回の法律では、私たちが情報を受け取るだけでなく発信する際も、その手段を選択できることが基本理念に据えられた。第10条を根拠に、すべての障害者に対する情報アクセス権の保障を前進させる」との共同声明を発表した。

 

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