国際ソーシャルワーカー連盟アジア会長、小原教授に聞く

2022年0627 福祉新聞編集部
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小原教授

 5月15日、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のアジア太平洋地域(28カ国が加盟)の会長に、小原眞知子・日本社会事業大教授が選出されました。日本人が会長になるのは2人目です。ウクライナの戦禍や、国をまたがる人身売買・労働力の移動をめぐるトラブルがクローズアップされる昨今、日本のソーシャルワーカーも国際問題に無関係ではいられません。そこで小原教授に、これまでの国際社会における日本のソーシャルワーカーの歩みや、アジア太平洋の会長としての抱負を語ってもらいました。

 

日本への信頼高まる

――IFSWとはどういう組織で、日本はどのように関わってきたのでしょうか?

 

 1958年に国際社会福祉会議とIFSW総会が東京都内で開かれ、各国から日本にソーシャルワーク専門職の組織を設立するよう要請されたのが始まりです。

 

 2年後に日本ソーシャルワーカー協会(竹内愛二会長)が発足し、同協会は84年にIFSWに加盟。現在は「日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)」として国内四つのソーシャルワーカーの団体が加盟しています。

 

 2014年には木村真理子・日本女子大名誉教授(精神保健福祉士)が日本初のアジア太平洋会長になりました。それ以降、活動が活性化し、日本への信頼は年々高まっています。

 

――具体的には?

 

 15年度から毎年、JFSWが社会福祉振興・試験センターの助成を受け、インドネシアなど7カ国で人材育成やソーシャルワーカーの組織化を目的としたワークショップを開きました。

 

 JFSWの会員を派遣し、児童労働、家族、災害時の心理的ケアやリジリエンス(回復力)などを話し合いました。

 

 18年にはベトナム、ネパールなど5カ国のソーシャルワーカーを宮城県石巻市に招き、東日本大震災後の日本のソーシャルワーカーの活動について学ぶ機会を提供し、その経験を自国に持ち帰って頂きました。

避難民への支援迅速に

――ウクライナの戦禍も気になります。

 

 JFSWは国内のソーシャルワーカーに義援金を募り、6月までに2回、ウクライナからの避難民支援のため、約200万円をIFSWに送りました。その迅速な対応に高い評価を得ました。

 

 23年3月には紛争地域からの避難民を支えることをテーマとしたワークショップを東京で開きます。世界中からオンラインで視聴してもらう予定です。

自然災害にも対応を

――アジア太平洋の会長としての抱負は?

 

 任期は4年ですが、まずはアジア太平洋地域のソーシャルワーカーのネットワークを築きます。アジア太平洋地域は自然災害が多い特徴があります。 

 

 また、育児や介護は主に家族が担う傾向があります。災害時の支援、家族の支援について学び合うことができるでしょう。

 

 私は社会福祉法人日本フレンズ奉仕団(東京都)の理事長も務めています。戦後の「ララ物資」で知られ、1947年にノーベル平和賞を受賞した米国フレンズ奉仕団から保育園の運営を委譲された法人です。

 

 日本は海外からも助けられて今日があります。一方、アジア太平洋地域には今もなお厳しい環境で働く子どもたちがいます。

 

 介護の担い手をアジア太平洋地域から受け入れる日本にとって、そうした社会問題に無関心ではいられません。日本の次世代のソーシャルワーカーを育てる上で、教育・実践の面で海外と交流することは不可欠なのです。

 

【おはら・まちこ】
 1965年生まれ。社会福祉士。2005年、日本女子大人間社会学研究科博士後期課程修了(社会福祉学博士)。日本医科大付属第二病院(川崎市)の医療ソーシャルワーカー、久留米大や東海大での准教授を経て15年から現職。現在、厚生労働省がん対策推進協議会委員、日本医療ソーシャルワーカー協会副会長も務める。

 

■国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)=専門的職業としてのソーシャルワークを促すことを目的に1956年に発足した国際組織。アジア太平洋を含め五つの地域ごとに活動する。世界135カ国のソーシャルワーカー約500万人(2021年度)が加盟し、社会福祉に関する国際連合の議案に意見を述べる機会を持つ。日本からは日本ソーシャルワーカー連盟が加盟している。

 

■日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)=ソーシャルワーカーの資質向上を目指す国内組織。日本ソーシャルワーカー協会、日本社会福祉士会、日本医療ソーシャルワーカー協会、日本精神保健福祉士協会による「社会福祉専門職団体協議会」(2003年発足)から17年4月に移行した。連盟の会長はこの4団体の会長が交代で務める。IFSWにはこの4団体の会員約6万人(重複あり)が加盟する。

 

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