障害者差別解消法、基本方針改定案固まる〈内閣府〉

2022年1121 福祉新聞編集部

 内閣府の障害者政策委員会(委員長=石川准・静岡県立大教授)は11月14日、障害者差別解消法に基づく基本方針の改定案をまとめた。同法が禁止する「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の不提供」について、それぞれ具体例を書き込んだ。内閣府は今月下旬をめどにパブリックコメント(意見募集)を始める。その結果を受け、政府は閣議決定する。

 

 不当な差別的取り扱いとは、障害を理由にサービスなどの提供を拒否したり、時間や場所を制限したり、障害者ではない人には付さない条件を付けたりすること。これに当たる例とそうでない例を4点ずつ挙げた。

 

不当な差別、合理的配慮義務違反の例

 

 合理的配慮とは、障害者が具体的な生活場面で直面する障壁について、行政機関や事業者が障害者との対話を通じて取り除くこと。場面ごとの個別の環境調整を指すもので、その提供義務違反に当たる例と当たらない例を4点ずつ例示した。

相談窓口を明確化

 このほか、法令の説明や適切な相談窓口につなぐ役割を担う国の相談窓口については、「内閣府が検討を進める」とした。差別をめぐって自治体の窓口で相談してもたらい回しされる例があり、それを回避するため国にワンストップ窓口を求める声が上がっていた。

 

 内閣府が事業分野ごとの相談窓口の明確化を各府省庁に働き掛け、窓口の一覧を作成・公表をすることも基本方針は明記。これにより、差別解消の実効性が進むことが期待される。

 

 基本方針は同法の考え方を説明するもの。現在も合理的配慮とは何かなど同法の根幹に関わることを書いているが、より具体的なものが求められていた。

 

 当初は今年の夏に改定する予定だったが、ずれ込んだ。改正法は民間事業者にも合理的配慮の提供を義務付けるもので2021年5月に成立。公布日(同6月4日)から3年以内に施行されることになっているが、施行日はまだ決まっていない。

 

福祉新聞の購読はこちら