児童養護施設によるアフターケアの標準化 千葉県で模索

2023年0111 福祉新聞編集部

 千葉県内の社会的養護経験者へのアフターケアを標準化するための研修会が11月21日、千葉市内で開かれ、県内の児童相談所や児童養護施設職員らが参加した。県児童福祉施設協議会の主催。

 

 開会あいさつで、同協議会職業指導員部会代表の池口豊氏が「千葉県のアフターケアは動きが鈍く、職員の意識を根本的にテコ入れすることが必要だ」と強調した。 

 

 千葉県では2017年に「ちばアフターケアネットワークステーション」が誕生。県の委託を受けた社会福祉法人生活クラブ風の村が、退所者の相談に応じた。20年にはアフターケアに関する職業指導員部会を設立。21年からは、県独自の「中核地域生活支援センター」とも連携した。

 

 研修会では、県内の社会的養護関係者でつくる「ちば子ども若者ネットワーク」代表の安井飛鳥弁護士が登壇。入所中から複数の支援機関が関わることで、退所後に支援を受ける選択肢を広げるモデルを提案した。

 

 並行して関係者が定期的に事例研究を行い、支援を標準化する。安井弁護士は「支援者同士が顔の見える関係となり、本音を語り合えて初めて連携できる」と訴えた。

神奈川は14年から

 また研修会には、アフターケアを先進的に取り組む神奈川県の関係者が登壇した。

 

 神奈川県は、14年からこどもへの相談支援や交流の場づくりをする「あすなろサポートステーション」を開所。児童養護施設「白十字会林間学校」に委託し、支援計画策定などを行っている。

 

 児童養護施設「強羅暁の星園」の斉藤優・あすなろ連絡会代表は「アフターケアの標準化には施設の悩みをチームで支援することが重要」と強調。あすなろサポートステーションの福本啓介さんは入所中の関係づくりが大切だと訴え、アフターケアに関する基準をつくるべきと提案した。

 

 神奈川県子ども家庭課の遠山芙実子さんはアフターケアに力を入れた経緯などを説明し「こどもは施設を選べる状況にない。どの施設でも必要な支援を受けられるべき」と語った。

 

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