婦人相談員の処遇改善  「統括」は年収350万円 困難女性支援法

2023年0215 福祉新聞編集部

 厚生労働省は2023年度、自治体に勤める婦人相談員の処遇改善を強化する方針だ。所定の研修を受講し、経験年数を満たした人を「統括婦人相談員」「主任婦人相談員」として、その給与にそれぞれ月額4万円、月額5000円を加算する。24年4月1日の困難な問題を抱える女性支援法(新法)の施行に向け、人材の確保と専門性の向上を目指している。

 

 

婦人相談員処遇改善イメージ

 

 

 新加算により、例えば経験年数が5年目で「統括」になった場合、年収は350万円超になる。21年度以前と比べると、約115万円増える。厚労省は、20年度の全国の婦人相談員1533人の2割が「統括」か「主任」になると見込む。

 

 現在も婦人相談員としての経験年数に応じた加算はあるが、「統括」と「主任」は経験年数に加え、受講した研修の数によって区別する。現時点で研修の内容や時間数は未定。23年度予算が成立したら早急に詰める。

 

 婦人相談員は売春防止法に「要保護女子の発見、相談、指導を行う」と規定され、都道府県や市区に配置されているが、法律上は外部に仕事を委ねる「委嘱」という位置付けだ。その9割が非常勤で、全国815の市区のうち390市区(48%)にしかいない。

 

 低賃金で長続きしないことから、処遇改善と専門性の向上が求められていた。新法は「女性相談支援員」と改称し、市町村に配置の努力義務を課した上で「その職務を行うのに必要な能力および専門的な知識経験を有する人材の登用に特に配慮しなければならない」と規定した。

 

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