採用改め“仲間さがし” ふくしデザインゼミで新境地 武蔵野会(東京)

2023年0405 福祉新聞編集部
ゼミの狙いを説明する今津さん(右端)

社会福祉法人武蔵野会(高橋信夫理事長、東京都)は3月24日、昨年8月から学生有志と取り組んできた「ふくしデザインゼミ」の成果を発表した。福祉やデザインを学ぶ学生が法人の運営する施設10カ所に出向き、法人内外の大人たち18人を取材して「人図鑑」が完成した。学生に学びの場を提供した武蔵野会はこの8カ月を振り返り、「これからは職員採用ではなく〝仲間さがし〟を」という境地に立った。

 

ゼミの狙いは「人図鑑」の完成を目指し、福祉を実践的に学ぶこと。その過程ではプロのカメラマンや編集者らが助言し、不慣れな取材、編集に苦戦する学生に寄り添った。

 

参加した学生は13人。大学も専攻分野もばらばらだ。大学の履修科目でもないし、福祉の国家資格を取得するための実習でもない、武蔵野会の手作りのゼミに飛び込んだ。

福祉を〝ふくし〟に

「コンセプトは福祉を〝ふくし〟に〝ひらく〟こと」と話すのはゼミの企画、運営を側面から支えた今津新之助さん。福祉の関係人口を広げる多様なプロジェクトを手掛ける「SOCIAL WORKERS LAB」(京都市)の代表だ。

 

支える・支えられるといった関係にとらわれず、福祉をもっと身近な〝ふくし〟に――。そのカギは人と出会って対話し、お互いに気付きを得ること、すなわち〝ひらく〟ことだという。

 

ゼミ生のうち2人はこの春、武蔵野会に就職する。その1人は「社会福祉協議会に勤めようと思っていたが、武蔵野会でも地域福祉の実践ができると分かった」と笑う。

採用する・される 従来の関係脱却

こどもや障害者など25の施設、約1200人の職員を擁する武蔵野会。職員採用を担当する菅春菜さんはゼミ生から取材を受け、触発された。「採用する・される」という関係から脱却したいと感じたという。

 

「これまでは就職フェアの場で学生さんの話を聞く時間が限られていた。これからはもっと一人ひとりに向き合い、同じ方向に向かって歩ける仲間を見つけたい」

 

この場合の「仲間」とは武蔵野会の職員になる人だけではない。他の社会福祉法人や他業界に進む人も含む。それぞれの場で〝ふくし〟に携わってくれたらOKという発想だ。

 

東京の社会福祉法人経営者協議会副会長でもある高橋理事長は、「東京の今後を考えると、福祉に関心を持つ若者の裾野を広げる必要がある。ゼミを通じて法人としても街づくりを学ぶことができた」としている。

 

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