医療、介護、障害の同時報酬改定に向け意見交換 特養の医療対応強化へ

2023年0510 福祉新聞編集部

 厚生労働省は4月19日、医療、介護、障害福祉サービスの2024年度同時報酬改定に向けた第2回意見交換会を開き、高齢化で増大、多様化する医療ニーズに対応するため、各高齢者施設、障害者施設の体制強化、外部の医療機関との連携などについて議論した。

 

 特別養護老人ホームの医療について、酸素吸入が可能な施設は54%、静脈内注射は32%、喀痰吸引(1日8回以上)は24%。看取りは83%の施設が対応している。

 

 ただ、配置医の9割が非常勤のため、急変時の対応が難しい。配置医師緊急時対応加算の算定は6%と低調で、未算定の理由は「配置医が必ずしも駆け付けられない」「緊急時はすべて救急搬送している」が多い。

 

 また、配置医不在時の急変対応は配置医へのオンコール対応が多いが、原則救急搬送とする施設も一定数ある。協力医療機関の種別をみると地域医療支援病院33%、特定機能病院8%、その他病院が51%だった。

 

 こうした現状を踏まえ、古谷忠之氏(全国老人福祉施設協議会)は「入院医療のルール化、緊急時・看取り時の医療・介護報酬の対応範囲の明確化、オンライン診療など配置医以外の医師の柔軟な対応の検討などが必要」と提唱。稲葉雅之氏(民間介護事業推進委員会)は「介護福祉士の喀痰吸引研修の機会がニーズに比べて十分ではない」と指摘した。

 

 一方、江澤和彦氏(日本医師会)は「高齢者施設から医療機関に気軽に相談できる関係性がポイント。特養の配置医の仕組みは残すべきだが、1人で365日対応はできない。運用可能なシステムをどう構築するかが重要」とした。

 

 ほかに「安易に外部の医療提供に頼らず、まずは自施設の対応力を高めることが基本」(長島公之氏・日本医師会)、「高齢者施設が高度な医療を提供する特定機能病院と直接連携するのは、医療の機能分化の観点から疑問を感じる」(松本真人氏・健康保険組合連合会)といった意見もあった

 

 意見交換会は課題を整理して解決に向けた方向性を共有するのが目的で、具体的な方針は決めない。出された意見は各報酬改定の議論の場で検討される。

 

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