「施設のこどもにスマホを」クラウドファンディングで寄付呼び掛け

2023年0703 福祉新聞編集部
スマホ里親の仕組み

 児童養護施設で暮らすこどもの「スマホ里親」になってくれませんか――。NPO法人スマホ里親ドットネットの櫛田啓代表理事らがネットを通じて寄付を呼び掛けている。学校生活にスマートフォンが不可欠なものになっており、櫛田代表理事は「施設も情報リテラシー教育に向けた意識改革が必要では」と話す。

 

 寄付はクラウドファンディングサービスを通じて300万円を呼び掛けている。これは1年で新たにこどもに貸すスマホ100台分に当たるという。

 

 同法人は、児童養護施設や里親などで暮らす中高生に、スマホを貸与する。その際の利用料や端末代は寄付で賄う仕組みだ。そのため施設やこどもには金銭的な負担はない。

 

 ただ、貸与前にオンラインで施設職員への面談を実施。こどもにもスマホの使い方講座を受けてもらう。端末には年齢に応じた閲覧制限もかけるという。

 

 内閣府によると、高校生のスマホ所持率は98%とほぼ全員。しかし、同法人の調査では、施設で暮らす高校生の所持率は69%と大きな差が出ている。

 

 国は2022年、施設で暮らすこどものスマホ費用について、措置費から出してもよいとする通知を出した。「情報にアクセスする手段として日常生活に有用」と評価している。

施設も情報教育を

 それなのになぜ施設で暮らすこどものスマホ所持率が低いのか。

 

 理由について、社会福祉法人みねやま福祉会(京都府京丹後市)が運営する児童養護施設「てらす峰夢(ほーむ)」の施設長でもある櫛田代表は、「スマホを持つためのハードルが多いから」と説明する。

 

 一つは、国の通知が出たとはいえ、措置費が増えたわけではないという点だ。そのため多くの施設では、こども自身がスマホ代を負担している。

 

 施設でのこどもへの小遣いは1カ月当たり数千円で、「スマホ代を稼ぐために進学や部活を諦めるこどももいる」(櫛田代表)。

 

 一方、施設にとっても消極的にならざるを得ない事情もある。国は、スマホを使用する年齢や利用頻度などは施設の判断とする方針で、現場からは「トラブルをどう防げばいいのか」と懸念が出る。

 

 しかし、櫛田代表は「クラスごとのライングループがあるなど、もはやスマホなしでは人間関係や学校生活が成り立たないのが現実だ」と指摘。「今は早期の情報リテラシー教育こそが必要であり、施設に対しても意識改革に向け一石を投じたい」と話す。

 

 同法人は19年、櫛田代表らが中心となって設立した。これまで全国の社会的養護関係施設40カ所で暮らす約50人のこどもに対してスマホを貸与してきたという。

 

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